東日本大震災の災害ボランティアセンターで奮闘していた、石巻市社会福祉協議会の阿部由紀さん。いつ起こるか分からない災害から身を守るためには、普段から最悪の状態を想定して、臆病に行動することだと言っています。阿部さん自身も、内陸に自宅を建てたり、外出したときも災害が起きたときのことを想定して行動しています。
もくじ
2014年4月22日 石巻市社会福祉協議会 阿部由紀Part4
災害を想定して自宅の立地を決めた
ここでちょっと話はそれるかもしれませんが、私が家を建てるとき、なぜ河南町という地域の鹿又というところを選んだかという理由なのです。もともとは雄勝というところに住んでいて、津波が来るから雄勝には家を建てない。だから河南に建てる、これは家族を守るために選択した理由です。
なぜそう思ったかというと今から17、8年前ですから、津波が来るともまだ言われてない時代、ただおばあさんから聞いていたのは津波の怖さです。だから雄勝には家は建てられない。どこに建てるかといったら内陸に建てるしかない。石巻に住みたいならそれしかないという選択です。
家族を守るためにはそれしかなかったです。東松島の赤井という地域があって、本当はそこも家を建てる準備をしようと考えて、そこの土地も売っていて、そっちがいいかなとも思っていました。でも、近くに定川という川があって、それが溢れてくるだろうという予測があったので、そこには建てないことに決めたのです。
だから災害大国である日本に住む我々としては、災害と向き合わないといけないのです。災害に対して自分自身がどう向き合っていくのか、という覚悟を決めて住めばいいのです。
普段から災害で自分が死ぬ可能性を考えて行動する
南海トラフ地震があって34万人が死ぬとか、東京直下型地震があって何万人が死ぬとかという予測が出ているときに、たぶんここにいる人ほとんどが他人事だと思っている。自分は死なないと思っている。
でも、本当は災害があれば自分が死ぬものだと思って、予測を立てる必要があります。だから俺は東京へ行ったときに山手線しか乗らない。地下に行きたくないのです。そういうところは、今でも徹底しています。
だからカミさんと一緒に車に乗っていても、例えば高架下で信号待ちをしているときに地震が起きて、もし上のものが落ちてきそうになったら、カミさんをどう助けるかということを考えます。
だからそのぐらい、あまり過敏になってほしくはないですけど、そのぐらいのことを自分は思いながら暮らしているという人間です。それだけは臆病になっていいと思います。そうじゃないと自分の大事な人は守れないんです。その時は、あっさり自分は守れなかったということで後悔すればいいと思います。
だからこれはその準備のための段階を僕が担当者としてやってきた部分です。だから「紙」を作って、その「紙」で理由を作ってフォーラムや訓練を開催してきました。
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