5.事前準備が奏功した災害ボランティアセンター

石巻市社会福祉協議会

東日本大震災の3年前から、石巻市社会福祉協議会の阿部由紀さんは、石巻の大学の敷地を使って災害ボランティアセンターの設置を計画していました。運良く、関係各所との取り決めを交わし、準備ができていた状態で、東日本大震災が起きました。それゆえ、他の市町村にさきがけ、3月15日に災害ボランティアセンターの設置ができたのです。

2014年4月22日 石巻市社会福祉協議会 阿部由紀Part5

3年前から計画していた災害ボランティアセンターの設置

ボランティアセンターの開設場所に、石巻専修大学をご指名させていただいたのも実は私で、震災の3年ほど前に、ぜひここに1,000人規模の災害ボランティアセンターを作りたいということを市役所にお願いしに行き、市役所の担当者の方々がそれを理解してくれたのです。

市役所の理解があってこその、ボランティアセンターだったのです。それから、大学の関係者の皆さんに感謝をしながら、ボランティアセンターをやらせてもらいました。だからよその市町村に負けないというか、よその市町村より速いスピードでボランティアセンターが展開できました。

我々は陸上競技でいうところの、例えばアップが終わってて、もうスターティングブロックのところに足も付けていて、もうユニホームも着て準備体操は終わっていて、スタートのピストルが鳴るのを待っている状態でした。ところがほかのところは、そこからユニホームを着て靴をはいて、準備しているわけですから、それは遅いわけです。

震災前から電力の途絶を想定し通信を確保していた

だからどれだけ早めに準備をしておくか、備えておくかということの大事さを痛感したものです。その準備もギリギリ間に合っているのです、全部。無線の設置も250万ぐらいかけて設置しています。無線はあくまで電力が供給できないことを想定して、エンジンをかけると無線通信ができる車載式にしています。

当時は10カ所ぐらいに設置していましたが、今では20カ所ぐらいあります。年間維持費は80万ぐらいかかりますが、これは何か急を要する事態では非常に有効なものになると思います。普通のトランシーバーとかじゃなくて、ここから岩手県の花巻とか、福島の相馬ぐらいまでは通るような無線機を使っていますから、維持経費がちょっとかかります。

事前にそれぞれの役割を決めていた

石巻の大学に来たのは3月12日の日です。なぜ来たかというと、ここが絶対使えるだろうという確認を取るために来させてもらいました。それで先生方と一度お会いをして、市長のゴーサインを待つだけです。市長になぜゴーサインを待つかというと、市長に最後に金を払ってもらうためです。

先に我々がやってしまうと社協がやれるのだろうと思われるからです。だから市長のゴーサインをちゃんと待って、あと最後にこちらの修繕費とか、たかだか7、800万程度のお金で済みました。大学のほうにただで使わせていただいて、本当は結構壊したはずなのですが。

これは大学のご協力もあったし、それから800万は市役所が出していますから、社協では一切お金を出していない。運営をするだけです。「紙」の作り方なのです。運営をするのはうちですと。ただお金を出したりするのは市ですと謳っておく。そういう決まりごとを作っておくということが非常に大事だったです。

やっさん

東日本大震災の仮設住宅支援、復興起業家育成に関わってきました。大学では、震災復興を考える講座やワークショップを実施しています。ここでは、復興ボランティア学講座の記録をまてめて、公開しています。

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やっさん

東日本大震災の仮設住宅支援や復興起業家育成に10年間携わってきました。現在は震災復興に関する講座やワークショップを実施しています。ここでは、復興ボランティア学講座の記録をまとめて公開しています。

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