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2013年7月3日 石巻復興支援ネットワーク 渡部慶太 Part8
東日本大震災のボランティアで来た石巻に残り、石巻復興支援ネットワークの事務局長として活躍していた渡部さん。団体として成果を上げることができた背景には、信頼性の構築があったといいます。内部管理の仕組みを着実に構築することで、支援者からの信頼を得られるようになり、その信頼がさらに他の支援者の紹介を招いたそうです。
地域に根ざしているからこそ信頼が得られた
今、きれいな話をしましたが、実際は大変でした。私たちの団体は11名でやっていて、お母さんと外部支援者になります。お母さんというのは結構プライドが高いです。外から入っている支援者は、僕も含めて変人が多かったのでこの絵になっているのですけれども、一緒にやるのは結構大変でした。
やっぱりそれぞれの文化というか、ママはママの文化があるし、外から来た支援者は支援者の考え方があって、いきなり一緒にやるのはトラブルが付きまとうのです。それこそ殴り合いにはならなかったですけど、口論はしょっちゅうでしたし、本当に蹴りたいと思うときもたくさんありました。今日はお母さん方もいらっしゃっているので、これはやめておきます。
この活動をする中で一番大切だと思ったのは、信頼性の構築です。私たちの場合は、そこそこ事業をさせていただいています。なぜかというと、信頼される方から信頼をいただいているからだと思っています。なぜそれができたのかというと、もともとの強みです。やはり地元のお母さん方とやっているのは非常に大きいです。
地元のお母さん方と、専門性のある外部支援者。僕はなかったのですが周りが持っていたので、それは非常に大きな強みになりました。地元のお母さん方、地元の方とやっているということで、今回の復興というのは5年、10年、20年かかるものなのですが、やはり外から支援する方、財団さんとかお金を出す側、ドナーの方にとっても、地元にちゃんと根付く持続的な団体にお金を出したい。あとは地元の方とやっているので、地元の本当のニーズを見つけやすい。
あとは、恐らく日本の地方都市は全体的にそうでしょうけど、どうしても保守的なところがあって、外から来た人間がいきなり関係性を築けないのです。いきなりビジネスなんてなかなかスタートできない、事業できないのです。そういう中で、地元のお母さんが言うことと、外から来た人間が言うことは全然違います。
という中で、お母さん方に話をしていただくことですぐに事業がすんなりいったりします。あとは、先ほど説明しましたが、いろんな方とのコミュニケーションが取れるのは大きかったです。そういうベースの強みがあって、事業の実績を積み重ねていくわけです。
目の前の事業の積み重ねが信頼をつくる
大切だと思ったのは、目の前のことです。当たり前のことを当たり前のようにしっかり丁寧にこなしていくこと。あとは他地域の事例とか、過去の前例を参考にする。そうしないと分からないです、今の復興って何をしたらいいのか。学ぶ姿勢です。とはいえ、先を見据えないと活動の方向性を誤ってしまうので、先を読もうとすること。KPIというのは、やっている事業がしっかり成果を出しているかを測定することです。
先ほど事業成果のところで人数を出しましたけれど、やはり人数が目に見て分かるものを設定しないと、果たしてその事業がうまくいっているのかどうか分からないですよね。PDCAというのは、計画を立ててやる。駄目だったらそれを見直す。という活動をしっかりやっているかということが大切だったのかなと思います。
事業実績の積み重ねをしていくと、だいたいどこの団体もそうですが、管理部門、事務方を支えるところがどうしても弱くなってしまいます。僕たちもそうだったのですが、そこをしっかりやっていくことが信頼性を構築する上で大切です。特に企業さんとかはすごく気にします。そもそも「NPO? 何だそれ」という人も多い中で、果たして信用していいのか。やはりしっかり法令順守していることが大切だと思います。
しっかり情報発信をしているかとか、組織をしっかりマネジメントしているかとか、組織のルールを設定しているかとか。これは理想を書いています。実際そんなに全然できていないのですが。組織のルール化・仕組み化は大切だという話です。そういうのをしっかり積み重ねていくと、ネットワークが拡大し、深くなっていきます。
信頼が紹介を生み、それが連鎖します
私たちの場合は信頼関係が構築できてきていると思うのですが、信頼関係を構築する上で私たち自身を理解していただく、私たちも相手を理解する。そういう中で、しっかりコミュニケーションを取って信頼関係を築いていって、継続的な支援をしていただいたり、ほかに支援していただく方をご紹介いただいたりします。
私はこの業界にいてまだ少しですが、思ったのは、NPO業界、復興支援業界、人づてが多いです。民間企業だと、日経テレコムとか、ちゃんとその企業が安全かどうかを示してくれるのですが、NPOはあまりないのです。みんなそれぞれ怪しい団体なので、人に紹介してもらうしか、ある意味できない。そういうものもあったりします。人づてで紹介していただくために、やはりそれなりにしっかりしなければいけません。
実際、私たちにあった例です。このD研究所という所からS社を紹介していただきました。今度S社がF協会を紹介してくださって、今度F協会さんからM社を紹介していただいてご支援をいただいたりしています。本当に人づてです。人のつながりに助けていただいている部分が非常に多いです。
活動していてすごく思うのは、サービスを提供する相手、受益者ですね。例えば、仮設住宅だったら住民さんになりますけれども。その方々をお客さん化させてしまうと駄目です。そうすると、やはり支援依存になってしまいます。お客さんとさせるのではなく、一緒にやっていく、一緒に事業をつくっていくという関係性に持っていくのがすごく大切だと思いました。そういう意味で、地元の受益者の方々もネットワークの一部になるのです。
僕たちがどんなネットワークを築くかというところで、私たちとしては石巻の子育て環境を良くしたい。そのためのネットワークづくりが大切になってきます。
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