10.地域の力で立ち上がるには(2013年ワカツク)

ワカツク

2013年5月21日 ワカツク 渡辺一馬 Part10

普段は仙台で若者の社会参加と人材育成を手がけている渡辺さん。東日本大震災では仲介役として、地域外のボランティアと現地のニーズをつなぐ役割もしていました。多くの団体や個人のボランティアを現地に送り込むなかで、支援に対する疑問を持ちます。このまま、タダで物を配る支援を続けていては、近々地元の経済活動を妨げてしまう、そろそろ自立を考える時期がきていることを感じていました。

コーディネイトしたボランティアは多すぎてわかりません

つないだ数は数えていないので分かりません。昨年の1月ぐらいに、とあるテレビ番組に出させていただくときに「どれぐらいやったか教えてください」と言われて、「分かりません」と返したら、「でも、いいから教えてください」と言われたのです。「さすが、Nが付く国営放送はしぶといな」と思って適当に言った数です。これ以上だとは思いますが、分かりません、数えていないので。

この団体はまだ活動されているはずですけど、参考書宅救便という活動をしている団体さんがありました。2年前の秋だったか、1年前の冬だったか、1年ぐらいたった前後ぐらいのときに、この活動をしている団体の方が僕のところに訪ねてこられて、「なかなか参考書が集まっても貰ってくれないんです。すごくいっぱいあるんだけど、どうやったらいいですか」みたいに言うのです。

せっかく東京から来てくれたのに、代表の人に僕は説教をかましはじめました。「おまえな、こう言っちゃあれだけど、金はないわけじゃないし、本屋ももうあるんだから、要らないんだよ」という話をしました。「どうするの?」という話をしたときに、彼らは、一応やり方を変えて、頂いた参考書をブックオフとかに売ってお金にして、そのお金をこっちに送っていただくというふうに活動を変えてました。

被災地の経済回復の足を引っ張ってもいいのか

ここで生きていくために商売をしている人の仕事を奪ってまで支援をすることが本当かどうかというのは、僕は結構悩んでいました。それは2011年の5月、6月ぐらいから言い始めていたのです。

「金が絶対にないわけじゃない。金を使って買うということは結構楽しかったりする。だけど、物が来るから金を使わないほうがいいんじゃないかというムードをつくっていったら、きっと働かない人がすごく増えると思います」ということを、5月、6月に県庁の会議で言っていたのは僕ぐらいでした。皆さん知っているとおり、働く人もいるし、働けない人もいるし。いったん働くということを選択しなくなっちゃうと、そこからなかなか戻ににくくなる。

これは答えはないです。正解はないけど、僕はどちらかというとそっちの立場で。「困っているはずだからいつまでも助けましょう」ということが、起こす何かがきっとあるはずです。そうじゃない、地元の方々が立ち上がることをどうやって支援するかということを、僕はやっているつもりです。2年と2カ月たちました。びびるような数字は変わりません。というか、増え続けます。

最近やっていることのご説明です。そんな裏方の仕事を、震災直後から半年間ぐらいわーわーやって、さすがに自分たちの仕事をしないと自分たちもおまんま食えなくなってきました。会社は、先ほども言ったとおり借金まみれでしたから、会社はもう借金を返すためだけにして、新しい法人で「ワカツク」という一般社団法人をつくりまして、人材育成の仕事を今はそこでやっています。

ボランティア団体とか、被災から立ち直ろうとしているような企業さんと学生さんをおつなぎするという、合同説明会みたいなことを定期的にやったり。そのつないだ先でやるインターンシップのコーディネートを今もやっています。

動画Part10(ワカツク 渡辺一馬 )

やっさん

東日本大震災の仮設住宅支援、復興起業家育成に関わってきました。大学では、震災復興を考える講座やワークショップを実施しています。ここでは、復興ボランティア学講座の記録をまてめて、公開しています。

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やっさん

東日本大震災の仮設住宅支援や復興起業家育成に10年間携わってきました。現在は震災復興に関する講座やワークショップを実施しています。ここでは、復興ボランティア学講座の記録をまとめて公開しています。

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