本当に楽しくて、面白いことは人に教えたくなる(魚谷浩さん)

2013年5月7日に講義をしていただいた、元オンザロード・魚谷浩さんに、授業後に学生がインタビューをしました。

「面白いところがなければ作ってしまえばいい」
「夢は自分がワクワクすることだけでなく、聞いた相手もワクワクできること」
講義では語られなかったポジティブな言葉とともに、東日本大震災被災地での支援活動の留意点も語られています。

最後に、インタビューをした学生の素直な感想もあります。ぜひ最後まで読んでくださいね。

魚谷浩さんインタビュー

Q:講義を終えて話し足りなかったことはありますか?

A:特になく、全部しゃべれました。逆に質問をもらって、石巻に移住している仲間のことについて伝えられたのでよかった。

Q:東日本大震災後の石巻の印象は?

A:自分の中で神戸で被災した経験と全く違う街の姿があった。それまでは、東北に来たことがなく、石巻も知らなかった。石巻は大変な東日本大震災の被災地だという印象を持った。だから、ボランティアの期間を短期ではなく、長期に切り替えた。

時間が経つにつれて、元気な街だなと感じるようになってきた。石巻に来て初めて「お茶っこ」文化を知った。休憩中に漬物とか持ってきてくれて、そういった心配りがいいなと思った。

気持ちの中で変化したことは、自分の理想に近づけたかなと思う。都心部の飲食関係で働いていたころは街中で生活していたから不自由はなかった。だけど、どこかで都市を離れて生活してみたいと考えていた。

神戸を離れて、石巻に来て、人間関係がすごく大事だと気が付いた。今は石巻の中心部に住んでいるが、将来は逆走してもっと田舎にいきたい。

Q:どうしたら多くの人を巻き込めるようになるのでしょうか?

A:多くの人に参加してもらうということは、いろんな人にコンタクトをとれるようにしないといけない。伝えたい人の行動力によって変わってくると思います。広げたいのであれば、自らいろんなところに行って、うまく人を観察して「この人に言えば拡散してくれる」という人を見つけることです。

例えば大学生は時間があるから、普段いかないようなお店に行ってみるとか。そうすると、そこで情報を得たり、やりたいことのヒントが見つかったりするかも。

本当に楽しくて、面白いことは人に教えたくなる。なんで人に伝わらないかというと、自分が楽しくないから。自分が楽しいことじゃないと、人は興味を持ってくれません。

Q:大学生に対して期待していることは。

A:石巻に住んでいる人は、もっと街遊びをしてほしいと思っています。地域の活性の繁栄には、学生が飲みに行くこととかが結構重要です。

石巻はものすごくチャンスのある街です。何かに興味のある人は、それを実現できるかもしれないし、ライバルも少ない。空地だって、空き店舗だってあるわけだから、バイトだけではなく学生でBARを運営し、その中で社交性を学んでもいいと思う。

石巻の学生さんには街で遊んでほしい。石巻に面白いところがないというのではなく、作ってしまえばいい。もし自分が学生だったら石巻で遊びたいって思う。確かに学生の間は都市部に集りがちだけど、学生であるうちは地域で遊んでほしい。

遊ぶことって結構大事です。それを知らなかったら、幸福感は低いかもしれない。危険な遊びをしてほしいというわけではなくて、街に出ていろいろな体験をしてほしいです。

Q:どのようなときに夢を語るのですか?

A:夢を持つと3番目くらいには誰かに話したくなる。20代前半の頃には、会う人みんなに「夢はなに?」って聞きまくっていました。その時の自分には夢がなかったけど。

夢って自分がワクワクすることだけじゃなく、それを聞いた相手もどれだけワクワクできるかってことじゃないかな。

今の自分には全国をキッチンカーで回りたいっていう夢がある。自分は料理をすることも好きだし、どこかに行くということも好き。お店を持ったら動けなくなる。だから、この二つを一緒にしたら、いろいろなところにいって料理を提供できるし、楽しいと思っている。

Q:被災者との接し方で気を付けるポイントを教えてください。

A:最初はボランティア活動中に、悲しい想いを抱いている人が多いから、大きな声で笑わないということを意識していた。

最初は何かしてあげたいと思ってきたけれども、「やってあげた」という気持ちを持たないようにしていた。むしろ「やらせてもらっている」ぐらいの気持ちで活動に取り組んできた。いくら被災者の方が怒っていても「やってあげているのに」と言ったことはない。

話をするときには、少しでもストレスが和らぐように、一人だけじゃなく、全員の話をしっかり聞くように努めた。その時に関わった人とは、今でも付き合いは続いている。

Q:最後に、講義を終えて今の気持ちは。

A:自分が講義をする時間を一時間つくっていただいたということに感謝している。みんなのための授業であったけど、一番自分のための授業になったと思っているから、機会をつくってくれたみなさんに感謝しています。

そして、授業に来てくださっている方も、若い学生さんがいたし、最後まで聞いてくれたので、すごく感謝しています。こういう貴重な時間を自分に与えてくれたことは、プラスになりました。

今度機会があったら、蛤浜に来て下さい。一緒に何かやりましょう。

インタビューをした学生の感想

魚谷さんのインタビューを担当した学生たちの感想を紹介します。

ボランティアを続けていくうえで大事なのは、被災地のためにやってあげているという考え方をするのではなく、やらせて頂いているという心構えが大切だと感じました。

魚谷さんたちが運営する蛤浜プロジェクトのように、他の団体が撤退した後も、地元にとどまり住民の方たちと同じ気持ちになって復興活動を続けていくことこそが町を盛り上げていくのだと感じました。

「勉強も大事だが、学生は遊びも大事」だと言ったことには驚きました。普通、大人の方は、勉強をしろと言うのに。遊ぶといってもニュアンスは違うと思いますが、人とつながりをもって、関わることが今の大学生である時期には必要なのかなと思いました。

「何もないと思うなら作ってしまえばいいと」いう言葉が私の心に刺さりました。インタビューに載せた以外のところでもさまざまなお話をしてくださり勉強になりました。ありがとうございました。

やっさん

東日本大震災の仮設住宅支援、復興起業家育成に関わってきました。大学では、震災復興を考える講座やワークショップを実施しています。ここでは、復興ボランティア学講座の記録をまてめて、公開しています。

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やっさん

東日本大震災の仮設住宅支援や復興起業家育成に10年間携わってきました。現在は震災復興に関する講座やワークショップを実施しています。ここでは、復興ボランティア学講座の記録をまとめて公開しています。

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