4. 大学生活をさらに10%楽しむには

石巻復興支援ネットワーク

2013年7月3日 石巻復興支援ネットワーク 渡部慶太 Part4

石巻復興支援ネットワークの事務局長として活躍していた渡部さん。会社を辞めて参加したカンボジアでのボランティア・プログラムが終わる頃、東日本大震災が起こりました。復興支援のために日本に帰国したことで、渡部さんの「自分探しの旅」は次の展開を迎えます。ここで、前半のまとめとして、これまでの渡部さんの体験から、大学時代をさらに10%楽しむためのアドバイスがありました。

貧困問題から復興の課題解決へ

そういう中で私がカンボジアで働いていたところ、3月11日に東日本大震災が発生します。

そのとき私はミーティングをしていました。私がかものはしプロジェクトに行ったのが、半年のプログラムでした。ちょうど終わるタイミング、3月15日に元から帰国予定のところに、震災が起きました。かものはしプロジェクトからは、引き続きスタッフとして働いてほしいということでお話しをいただいていたのですが。残念ながら、NPOはしんどいなと思ったのです。

何がしんどいかというと、確かにかものはしプロジェクトとしては工房を運営して、100人ぐらいの女性を雇用して比較的うまく回っていたのですが、何で回っているかというと、ビジネスモデルとしては非常に不完全で、一部の優秀な方が一生懸命やっているから成り立っている。

それは僕がそもそもやりたかったソーシャルビジネスの、持続的に課題解決をすることに程遠いと思いましたし、自分がそれをできる自信はなかったのです。NPO全体がそういう業界で、僕はそこでライフワークとしてやっていきたいかというと、ちょっと違うかなと。半ばもう自分の人生は終わったなと。やりたいと思って飛び込んだ業界は全然違っていました。

あとは企業に戻って、安定した企業で死んだ魚のように働くしかないのかなと思っていた時期だったのです。震災が起きたときは。そういう中で、「復興支援の活動に参加しないか」というお話しがあって、参加させていただくわけです。運命なのか、たまたまなのか分からないけれど、そういうかたちで来ます。第1部はこの程度にしたいと思います。

大学時代にどんな人生を送りたいのか考えてください

今の話を聴いて、皆さんがどんな人生を送りたいか。大学1年生の方が多いと聞いています。高校生もいらっしゃると思いますが。私はいろんな国なり、ヒッチハイクでいろんな県を回って良かったなと思います。いろんな国を見たり、いろんな地域を見たことで、その地域の見方が変わります。

例えば石巻だと、私が気付いたのは、空を見上げることが多いのです。それぐらい空がきれいです。そういう、やりたいことをやる人生がいいのか。もしくは温かい家庭を築く。安定した仕事に就いて奥さん、子供を守る。何でもいいと思います。どんな人生を送りたいかというのは、ぜひ大学時代に考えたほうがいいのかなと思います。

「熱中する何かはありますか」。皆さん、もしかしたら中学生・高校生で部活とか、熱中したものがあったかもしれませんが、ぜひ大学生になっても持ち続けていただきたいと思います。やっぱり一生懸命やると得るものは多いです。

僕も復興支援活動を石巻で2年近くやりました。3月にその事業が、一回皆さんの前で最後の感想みたいなかたちでお話しする機会があったのですが、思わず泣いてしまいました。一生懸命やると、感動とか、何か心で得るものがあるのでしょうね。ぜひそういうものを持っていただけるといいかなと思います。

あなたの人生を導いてくれるものはなんですか

「あなたの人生を導いてくれるもの」。狭い世界で生きていると、どうしても狭い生き方になってしまうような気がします。あなたの人生を高めてくれるもの、導いてくれるものというのは、人であったり、本だったり、テレビだったり、出来事だったりするかなと思います。そういったきっかけで動いて、その経験から何を学ぶかというのが非常に大事だと思います。

終わった方もいらっしゃると思いますが、皆さん就職活動を迎えると、「大学時代に何を頑張りましたか」とか「どんな苦労をどうやって乗り越えましたか」という話を絶対に聞かれます。それを答えられないと、先には進めないわけです。別に就職活動をパスするために言っているわけではないけれども、そういうのは大切だと思います。

幾つか私が非常に影響を受けたものを紹介したいと思います。これは高橋歩さんです。先日お話しがあった魚谷さんが所属されていた、オンザロードさんの代表です。この人は「自由人」と自分で言っています。そもそもは成功した経営者だったのです。カフェをやって成功して。でも、それを投げ捨てて、奥さんと世界一周をしたり、こういう本を書いたりしています。「平成の相田みつを」みたいな感じでしょうか。

僕が一番好きなフレーズがこれです。「夢があろうとなかろうと、楽しく生きているやつが最強」。大学時代に夢がなかった、見つからなかった。簡単に見つかるわけがないです。そういう中で、しんどいなというときに、夢がなくても楽しくしていれば最強。自分にとっていい、ということは励ましになりました。

あと、かっこいいのが「夢は逃げない、逃げるのはいつも自分だ」。まさにその通りです。「君の心の中のトム・ソーヤは元気かい」。これは多分、心の中に少年時代・少女時代はわくわくするものがあったのです。大人になってくるとその声を聞けなくなる。確かにその通りだなと思って、私は非常に感銘を受けました。もし見てみたいと思う方は、「高橋歩」を検索してください。

続いて、退屈な日々を送っている人や刺激が欲しい人。これも海外ネタですが、岩本さんという方が書いた日記です。旅日記、放浪日記(注、岩本悠『流学日記』)かな。当時大学生、20歳ぐらいのときに海外を放浪します。それで見えてきたことを書いているのですが、非常に面白かったです。ちなみにこの岩本さんという方は、今、島根県の海士町という島興しで非常に有名な所で活躍されていらっしゃいます。

刺激を与えてくれる友人はいますか

あとは、これが一番大切かもしれません。「刺激を与えてくれる友人、一生付き合っていきたい友人ができましたか」。これは僕にとっては彼がそうでした。すべて同じ人物です。これは社会人です。社会人がこんなばかなことをするのです。

大学時代はフリーザになったり、オバQになったりするのですが。彼がそもそも「ヒッチハイクをしよう」とか「インドに行く」とか言い出すのです。彼がいたから僕は間違いなく今の人生、ここ石巻専修大学にいるのだという気がします。もちろん一緒にいて楽しい友達といるのは非常にいいと思いますが、また別の観点で刺激を与えてくれる友人なり知り合いがいると、皆さんの人生というのはいいのかなという気がします。

経験を積む。そして経験から何を学ぶかが非常に重要かなと思います。皆さんがどういう経験をされるか。ぜひいろんなことを大学時代にチャレンジしていただきたいです。学問・研究でもいいですし、サークル・部活でもいいです。旅でもいいし。旅は非常に良かったです。アルバイトでもいいです。ただ、だらだらアルバイトをしてもしょうがないと思うので、一生懸命やって自分のキャリアアップにつながるようなアルバイト、もしくはインターンです。

復興ボランティア学でいろんな支援団体さんが「来ませんか」と窓口明けていらっしゃいますので、ぜひ行っていただいたらいいのかなと思います。それ以外に、被災地特権と言ったら非常に言葉が悪いですけれども、いろんなプログラムがあると思います。アメリカに行くプログラム「TOMODACHIプロジェクト」があったり、ハビタットさんの海外で活動するチャンスとか、いろいろあると思います。ぜひそういった活動を生かしていただければいいかと思います。

やっさん

東日本大震災の仮設住宅支援、復興起業家育成に関わってきました。大学では、震災復興を考える講座やワークショップを実施しています。ここでは、復興ボランティア学講座の記録をまてめて、公開しています。

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やっさん

東日本大震災の仮設住宅支援や復興起業家育成に10年間携わってきました。現在は震災復興に関する講座やワークショップを実施しています。ここでは、復興ボランティア学講座の記録をまとめて公開しています。

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