6.動けば面白ことができる(2013年 ISHINOMAKI2.0 松村豪太)

ISHINOMAKI2.0

2013年5月28日 ISHINOMAKI2.0 松村豪太 Part6

東日本大震災で被災した石巻を面白い街に変えるため、ISHINOMAKI2.0の活動を始めた松村さん。夜な夜な集まっていたメンバーで、面白い街を作るためのアイデアを出し合いました。お金も、労力も、人脈もないけれども、街に眠っていた資源を活かすことで、次々と面白いことが実現できました。動けば面白いことができたのです。

コネもカネもないけど面白いことをしたい

もう一度戻ります。今日のテーマ、「面白さをデザインする」ということですけれども。町を面白くしたいんですね、震災前のしけた町だった所を。それをどういうふうに面白くできるのかということを考えました。ただ、問題は、僕ら、というか僕です。

全然町の有力な人とつながりもないし、役所の人も一人も知らないし、コネがない。何よりもお金がない。われわれの居場所もない。体を動かせる人間だってそんなにいないです、自分たちだけ。そのときのメンバーは、石巻の人間2~3人+東京から頻繁に週3~4回通っている人間が7~8人から10人ぐらいいるぐらいなので。いろいろ労力もない、何もなかった。でも、面白いことはしたい。

先ほど「闇鍋」と言ったのですが、鍋をつつきながら、お酒を酌み交わしながらいろいろ考えていたんですけれども。そこで、いわゆるブレーンストーミング的にどういうことができるかというのをアイデア出ししていました。東京にいるチームの人間、それぞれ東京の仕事を続けながら、インターネットのツールを使って会議ができるようにしていたのですが、そこで「フリーペーパーを作れたらいいんじゃないの?」というふうに考えました。

あるいは「ライブをしようよ」とか、「野外上映会をやりたいね」とか、「カフェを手作りで作りたいね」とか言っていたのですが、だいたい実現しています。あるいは、こういう『まちあるきマップ』を作ったり、あるいは「お祭りをしたいね」と考えました。

面白いことを実行するために、必要なことを考えよう

STAND UP WEEK

当時、町の中は、僕らのメンバーが「催眠術」という言葉を使っていたんですけれども、偉い学者の先生とか行政とかが、いわゆる絵を描く。何かグランドデザインを示してくれないと動けないという風潮がありました。実はそんなことはない。動けばたくさん面白いことはできるし、お金をかけなくても人を呼べるということを実際に示したかったのです。

そこで、この「STAND UP WEEK」というお祭りを川開きの前の10日間行いました。これは野外上映会の様子です。本当にこれなんか、われわれの活動を象徴しているのですが。上映会するにも場所がなかったのです。でも、ふと隣を見たら、被災したいいビルの壁がありました。そこに投影してみたらとてもきれいに映ったのです。

「これでいいじゃない」というよりも、「これがいいよね」というふうに。『ニュー・シネマ・パラダイス』という映画がありますけれど、まさにその最後のシーンですね。ビルの壁に投影する映画会。子供たちがとてもいい笑顔を見せてくれました。

あるいは、まちづくりシンポジウムを行ったり。これは、前に小さく映っているのはEAST END×YURという、少し前にはやったボーカルのGAKU-MCさんです。そういった方を呼んでライブを行ったり。これは、最近もうブームも下火ですけど、まちコンというのがあります。石巻の街中は呉服屋さんが多いのです。それも一つの価値じゃないかということで、「ゆかたdeまちコン」というイベントをしました。

こういうふうにわれわれがやっているのは、町がもともと持っている資源、あるいはもともとあった課題を丁寧に拾って、さまざまな才能・想いとつなげながら、見方や切り口を替えることでこれまで気付かなかった面白さ・魅力を発見・提案していくことです。あえて言葉にするとすれば、こういうことをやっているのだと思います。

基本的には「面白い」というのが前提にあります。面白いことは、理屈抜きで面白いのだからやっていこうよ。その面白いことを実行するために、必要なことを考えようよ。これがわれわれのスタンスです。

「復興民泊」というプロジェクト

復興民泊
復興民泊

例えば、もともとあった課題。どういうのがあるかというと、今でも課題ですが、特に2011年の夏は宿泊場所がなかったのです。これが改修風景ですが、町の旅館はだいたい被災してしまって廃業してしまった。残っているホテルも工事関係者が長期間抑えるので、一般的な個人観光客とかボランティアは泊まれなかったのです。

一方で、町にはシャッター通りが広がっていましたので、空き物件がたくさんあった。そういう空き物件を何とかしたいというオーナーさんの思いと、泊まりたいというニーズをマッチングさせればハッピーなんじゃないのって。これもデザインですね。

多くのボランティア団体、ピースボートさんとか、外国人のボランティアの力を借りて、空き倉庫とか空き物件をあまりお金はかけないで、でもデザインには、かっこよさにはこだわって泊まれるしつらえを造りました。これが「復興民泊」というわれわれのプロジェクトです。

これは2号室なんですけど、パーティションを、壁を本棚にして「石巻マンガの街」ということで漫画を並べて、漫画を見ながら泊まれるという。これは結構好評で、成功しました。

調子に乗って行ったプロジェクトが、町はどんどん公費解体でビルがなくなって、空き地が広がっていく。その広がった空き地を生かそうということで、「まちキャンプ」という、町の中にキャンプ場を作りました。これもはっきり言って、下は小石がゴロゴロしていて快適度ゼロというか、マイナスなんですけれども。かっこよく使うとたくさんの方が面白がって利用してくれました。

動画Part6( ISHINOMAKI2.0 松村豪太L)

やっさん

東日本大震災の仮設住宅支援、復興起業家育成に関わってきました。大学では、震災復興を考える講座やワークショップを実施しています。ここでは、復興ボランティア学講座の記録をまてめて、公開しています。

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やっさん

東日本大震災の仮設住宅支援や復興起業家育成に10年間携わってきました。現在は震災復興に関する講座やワークショップを実施しています。ここでは、復興ボランティア学講座の記録をまとめて公開しています。

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