2014年|復興ボランティア学|第2回−6
登壇者:阿部由紀さん
所属:石巻市社会福祉協議会
地域包括ケアモデル事業の導入に向けて、石巻では多職種・多機関連携の調整が始まっていました。現場では個人情報の扱いや縦割りの組織構造など、連携を阻む課題も少なくありません。それでも住民や民生委員、医療・福祉・行政が互いにつながり、地域全体で支え合う仕組みづくりが進められています。厚生労働省のモデル事業として始まった挑戦を通して、「昔のような支え合い」を現代にどう取り戻すのかが語られています。
つながり直す地域、揺れる現場の空気
今後はこれです。地域包括ケアモデル事業、これが石巻にいまから入ってきます。皆さんもこの字はもしかしたら新聞で見たことがあるかもしれません。これって、当たり前のことを当たり前につなげばできることなのです。ところが、他業種連携、他職種連携というのが意外と縦割りで、情報の共有が個人情報保護法なんていうのを勝手に読み違えてしまって、個人情報は個人が利益のあるものであれば共有していいはずなのです。
そこら辺がどうも住民の方々も、皆さんもそうかもしれませんが、「これ個人情報だよ、なんで俺の情報言うんだよ」っていうかもしれません。それは確かに個人情報、そんなときは。ただ、その個人に有益な情報である場合は、互いにみんなが共に共有しあっていいという部分にちゃんと書いてありますので、そこら辺皆さんも個人情報保護法をちゃんと読んでみてください。そうすると、ちょっと分かると思います。そうすることによって他職種連携が可能になると思います。
あと、ボランティアである我々、それから地域にいる民生委員さんや自治会の会長さんたち、そういった方々と市の保健師や医者、そういった方々がつながるということを今回テーマとして掲げているのが、この地域包括ケアモデル事業です。これは石巻の今後を左右するものでもあろうかと思います。言うなれば、昔に戻るみたいなものです。昔は協力しあったのです。それが、こういうシステムを使わないとやれなくなっているので、やらざるを得ない。厚労省がモデル的に実施しているということです。

社会福祉協議会は、こういったいろいろな行政機関ともつながりながらさせてもらっている部分があります。皆さんこれは見ていただければご覧の通りなので、あまりくどくどと説明するものではないかと思いますけれども、やはりこれからは当たり前だったものをちょっと見直す必要があるかなと私自身は思っています。地域に住んでいるということ、もしくは自分がこの災害や何かがあったらどうするというようなところとか、ちょっと顧みてほしいなというふうに思います。そうでないと、自分一人では絶対に生きていけなくって、人って。やはり互いに協力し合う必要性というのは、どこかにあるのだよなって、ちょっとでも何かで思ってもらえればいいかなと思います。
ただ、皆さんもこれから社会人として、たぶんいろいろなところに就職されて、日本の中である意味いろいろな役割を担うことになるのかなというふうに思っています。私も一つの役割を担うだけの人間です。でかいこともしたいなと昔は思いましたが、いま、自分でやっている仕事が一つ何か成果をもたらして、あと死んでいってもいいかなとは思っていますけれども、それを受け継ぐ人や後輩の皆さんに何かを伝えていく必要はあるのだろうなと思う。
だからこの間、老人クラブの皆さんにちらっと会員の方とお話したときに「先輩このまま死んでいいのか」という話をさせていただいて、「この世の中を作ったのは皆さんではないですか」と。高度経済成長の中で昭和40年代、50年代ってどんどん成長していって、「働かざる者食うべからず」みたいな主義から、いまはそれが変わってきていて、どうもそのつくりがいま影響してしまっているのも事実です。
我々はそういう教育を受けてしまったので、互いに連携し合いましょうなんていう世代ではないのかもしれません。だから我々世代がもしかしたら皆さんの世代に本当に受け継ぐものというのは、ぜひ石巻ではなくてもいいですから、どこかで誰かが困っているときに手を差し伸べられるような人になってほしいなというのは、本当に私、親の立場ではないけれども言わせてもらいたいなとは思っています。
支え合いの現場から見える石巻の今
社会福祉協議会として、地域福祉コーディネーターという職員を10人いま、雇用しました。その方々というのは、例えば牡鹿とか雄勝とか北上という地区は沿岸地域の漁村です。リアス式海岸に沿った漁村で限界集落というところです。高齢者が結構多くて、高齢化率70%なんていうところもあると思います。
内陸部のほうは河南地区とか桃生地区については、農村地域で田んぼでまだ稼いでいる人がいる。一方で石巻の蛇田地区については、復興公営住宅のでかいのが建って、これから受け入れていかなければならない市民と行かなければならない市民の間で不安や葛藤があるはずです。仮設住宅に残されている方や、みなし仮設住宅でこれからの不安を抱きながら暮らされている方もたくさんいるのも事実です。これがいまの石巻です。
フランチャイズやチェーン店がオープンしてきらびやかになって、チャラチャラした感じになっているかもしれませんが、実際の復興なんてまだまだできていないのです。だから自殺者が増えている、孤立が増えている。これがいまの石巻の現実なのです。それを、そういった地域福祉コーディネーターとかがどのように昔に戻せるか、関係性を構築できるか、みんなで協力し合ってやるのってやはり大事だよなというふうな地域づくりをすることができるか。
例えば、みんなも家に戻って近所に年寄りがいたときに、その年寄りが具合悪いか悪くないかなんていうのを今まで気に掛けたことなんかないと思うのです。急にバタっと隣のじいちゃんが死んだとかいうのを後で聞いたりとかというが今までだったと思います。

だからそういうのを、「体調悪そうだな」とか、「あの家の花が咲かなくなった」とか、「玄関先のポストが結構いっぱいになることが多くなった」とか、そういった生活の変化に周りが気付いて誰かに言う、町内会、お父さん、お母さんに言ってもいいですが、誰かに言うことができて、それがつながることによってもしかしたら平均寿命も延びるかもしれません。
それから地域の中でそういった支え合いというのが本当の意味であいさつから始まって、いま、近所でみんなあいさつします?
あいさつしない人多いのです。この間高校生にあいさつしたら知らんぷりされましたね、「何だこのやろう」という話をしましたけれども。ちょっと昔から短気なのでそこら辺は、私は宮城水産出身です。当時は荒れた学校で変なバイクも走っていました。そういった中で私は一緒にいました、そいつらと。
今はその人間が福祉をやっています。だからいろいろなところにもご厄介になりましたし、みんなは石巻の人かもしれないので言ってもいいのかもしれませんが、日和山のほうにも裁判所みたいなのがあって、そこにも2回ほどご厄介になっています。昔若気のいたりでいろいろなことをしました。
ただ自分が目指すものは何だろうと思ったときに、私は子供支援をしたいと思って就職をしたのです。だからこれから皆さんが生きていくときに、いろいろな人生の曲がり角がたぶんあると思います、いろいろな出会いもあると思います。非常にそこら辺は大事にしながら、あと仲間というのも大事にしながら、ぜひいろいろな体験をしていろいろな社会人になってほしいなというのが最後のメッセージになりますかね。
だいたいここら辺でお時間なので講義のほうは終了させてもらいますが、結構聞いてくれる人がたくさんいたなというふうに思って実感しました。ありがとうございました。以上で終わります。
(終了)
この講演で語られた地域包括ケアは、石巻だけの話ではありません。災害時だけでなく、日常の中で人と人がどうつながり、地域で支え合う仕組みを築いていくのか。その問いは、どの地域にも共通しています。
『復興ボランティア学』では、こうした支援の記録をもとに、未災地における事前復興を対話を通して考えるワークショップを開催しています。あなたの地域に置き換えながら考えてみたい方は、ぜひご覧ください。

コメント