5.縦割りを超えて地域全体をつなぐ石巻市社協の復興支援体制

2014年

2014年|復興ボランティア学|第2回−5
登壇者:阿部由紀さん
所属:石巻市社会福祉協議会

石巻では100名を超える被災者雇用スタッフを配置し、市内を10のエリアに分けた支援体制が組まれていました。監査法人や宮城県などとも連携し、訪問時間や住民との対話時間まで設計しながら運営が進められていました。しかし、制度や組織を整えるだけでは支援は成り立ちません。縦割りや自己満足を超え、人と人をどうつないでいくのか。地域全体で支え合う仕組みを模索し続けた現場の実践が語られています。

深夜まで続く現場の熱気と、支援体制の裏側

いまの職員配置はこのような感じです。災害復興支援対策課という一つの課で、いま約5億円ぐらい使っています。その中で、ほとんど8割5分は人件費です。被災者雇用をさせていただいて、このような形で、いま100名以上の体制で進めています。石巻市からの紙で、また委託事業としてお金が来て、それを石巻を10のエリアに分けて、みんなの右手のほうにあるけれども、そういうふうにエリア分けをして事務局体制を整えてやっていく。これが先ほど言った監査法人が描いたものです。それを我々はやらせていただいていると。

訪問時間については何分とか、おしゃべりの時間は何分で計算するとこのぐらいまでいけますよ、というのを彼らは算出していくのです。本当に面白かったです。地元の大学の電気代を使わせてもらって申し訳なかったのですが、この事業をやるのに2時、3時まで毎日毎日、彼らはその期間で仕事を終えなければならないという彼らの仕事ぶりですよね。

俺らはそれに付き合わされましたけれども、タフです。2時、3時にここを帰っていって大崎古川のビジネスホテルに泊まって、9時に来るのです、ここにまた。すごいですよ、彼ら。その人たちにこういうふうな組み立てをしてもらって、それをあと宮城県やサポートセンター支援事務所が研修やらでそういった人たちを支える、スキルアップしていく、ど素人集団でしたから。

増える孤立と自殺、地域の矛盾と支援のあり方

いまの課題は生活の不安や地域の孤立、もちろん自殺についてはここで言っていいのかな、増えています。去年の倍です。毎年増えているのです。数字では出せませんが、さっき言ったように3年という数字はそういう数字です。金がなくなっていく、もしくは体調に不調を訴える、すべてを震災のせいに、もしくは震災のせいになる。それが負担になっていって自殺に追い込まれる方というのはいらっしゃいます。2年目より3年目がその倍になったというのは非常に我々としては今後のことを危惧しています。

それは報道には絶対に出ませんし、なぜかというと助長してしまうのです。同じ境遇だったら俺も死んじゃったほうがいいのかと。そういうふうになってしまわないように、見守りやそういった部分を地域が強くならないといけない、地域で暮らしている人たちが何をしているのかというのを分からないといけないになっています。

みんなもそうなのだけど、例えばきれい事を言って「地域で助け合わないといけないよね」「ボランティア活動って大事だよね」って言っているやつに限って、家の周りで何かしているかというとしてないことが多かったりというのが多くないですかね。それって俺はやっぱり矛盾していると思っています。家の周りでもやる、自分が言っている言葉にも責任を持つ、それがやっぱり人間としてたいして生きられないものですから。

だからそれをいままさに地域福祉コーディネーターがその地域づくりという部分において、日本古来助け合ってきた日本文化、そういったものは大事だよねっているようなところをいろいろな社会資源がいま、たくさんあるのです。法の面の支援だったり、心の支援だったり、あとは障害者の支援だったり、もしくは高齢者のケアだったり就職支援だったり。たくさんのケアがありすぎるのです。

こんなことを私は異端児だから言ってもいいのかもしれませんが、ないほうがいいのです。なければ自分でやらないといけないので。何にもできない人たちをどう救うかとういうふうに考えたほうが本当に考えやすいのですが、いま、多方面でいろいろな物がありすぎてどれを選択していいかみんなが迷うし、たくさんいろいろな書物が出ているし、ビラも配られるので、皆さんいろいろなことを迷ってしまうのです。

情報の伝え方と、支援のネットワークづくりへの思い

災害ボランティアセンターをやっていて避難所へ行ったときにチラシを作って行きますよね、あのチラシで文句を言われたことがあるのです。色がいろいろあってカタカナと漢字と数字が入っていて分かりにくいって言われたのです。俺らは分かりやすく作っていったつもりです、でかくしてみたりちっちゃくしてみたり。

例えば表題のところは「ボランティア活動ができます」って、例えばね。いろいろなことを書いちゃうの、こういう家庭にはできますよ、でもこういう人にはできませんよって。いろいろなことを書いちゃうから今度どれが本当か分からねえって言われたのです。最もな話だなと思ってチラシのあり方を少し検討しました。

なぜ新聞がちゃんとみんな高齢者でも読めるのか、ちゃんと整然と書いてあって読む方向性がきちっと決まっているのです、新聞って。だから新聞というのは情報としては非常に正しいし、いくらちっちゃい活字であっても高齢者は読むのです。だからああいうのに見習うべきなのだろうなと思います。

そういう部分にあって我々市民生活を支える側の市民活動ボランティア支援みたいな部分については、柔軟性が非常に大事なのかなと思っています。だから役所でやる制度とかそういったものもありながら、一方で社会福祉協議会みたいなところがやっている石巻全域に対して生活支援をやっている。だけどやれていない部分ってたくさんあるのです。

例えば高齢者は介護保険に該当する人、障害者は障害者自立支援法に該当する人、そういった人を抜かしたほかの部分に対して我々社会福祉協議会がやっていくとなったときに、ほかの社会福祉協議会以外のところは誰がやるのといったときに市民活動なのです。

そこをNPOグループなんかが組んでテーマ型でそれをやっていく、横軸でみんながつながる。それが補助金を得られやすいネットワークづくり、そういったものがいま、これからの石巻には大事だし石巻がこれから全国に発信していくべきものでもあろうかなと思っています。これはほかのところではあまりやっていませんので、ぜひ先駆けてやっていきたいなと思っています。

ただNPOやNGOって後のほうにNPOの方もちらっといらっしゃるかもしれませんが、NPOやNGOも縦割りです。行政に縦割りって言うわりには、てめえらも縦割りなのです。これだけは事実なのです。だから彼らが楽しい人ともしくは合う人としかつながっていないのです。

そうではなくて自分らと合わないかもしれないけれども、精神的にとか、あの人の口調は嫌だからあの代表は嫌だとか言うのではなくて、そういう人たちとちゃんとつながる必要があります。そうでないとみんなで共存共栄して本当にいい支援活動をするっていう、正義感溢れるあの言葉はどこに行くのっていう話になってくる。

だから子供支援や高齢者支援、障害者支援、地域づくり、様々な支援活動を展開するのはいいが、各々の自己満足でマスターベーションみたいなことをやっているようではお話にはならんということです。それをみんなで一緒に一丸となってやっていこうよというところを今後誰かがやっていかないといけないのだろうなというのをつくづく感じます。

それを教えてくれたのがこの震災だったですし、この震災を契機に我々社会福祉協議会も柔軟性を持って臨んでいかないといけないのだろうって。社会福祉協議会というのは石巻に唯一無二の存在です。だから我々自身がその福祉のオタクとしての意地もあるので、ぜひそこは全うしてやっていかなければならないところではあろうかなというふうに自覚を私自身は勝手にしています。

(次回に続く)


この講演で語られたのは、震災直後の支援だけではなく、「地域で支え合う仕組みをどう育てるか」という普遍的な問いでした。『復興ボランティア学』では、こうした記録をもとに、未災地でできる事前復興を対話を通して考えるワークショップを開催しています。あなたの地域や組織で考えるきっかけとして、ぜひご覧ください。

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