「日本復興の光大賞17」特別賞を受賞

2017年2月27日、復興ボランティア学および復興ボランティア学ワークショップを運営している山崎ゼミが、日本トルコ文化交流会が主催する「第3回日エルトゥールル号からの恩返し 日本復興の光大賞17」特別賞を受賞しました。

この賞は「復興のために地道に尽力している民間団体の中から特に優れた団体を選び、その活動や想いを世に広め、さらなら日本・トルコの友好関係発展を願う」(日本トルコ文化交流会)という主旨です。

特別賞は日本の多くの大学やゼミナールが復興支援活動に携わっているが、人が入れ替わるゼミナール活動で、5年以上も継続してきたことが評価されました。

「特別賞」受賞にあたって

日本復興の光大賞17特別賞という、素晴らしい賞を頂き、ありがとうございます。
ここまで私たちの活動を支えてくれた皆さまに改めて感謝を申し上げます。ありがとうございます。

私たちの活動は2011年から始まりました。この賞は、山崎ゼミの現役学生のみならず、卒業生たち、ともどもいただいた栄誉だと思っております。

私たち山崎ゼミナールはNPOやボランティア団体ではありません。大学の教育課程の中の少人数教育のひとクラスです。2011年当時、13人の学生と仮設住宅支援活動を始め、今年4世代目の卒業生を送りだします。

学生たちは学業とアルバイトの間を縫って、復興支援活動に力を尽くし、他の支援団体とも遜色のない活動をしてきました。そうやって先輩から後輩に受け継いで、続けてきた努力が、今回大いに評価されたものと考えております。

しかし、現実の問題として、学生たちの間では東日本大震災は過去のものとなりつつあります。被災地唯一の大学であっても、復興支援に見向きもしない学生が増えております。その証拠に、来年度、私たちのゼミに入ってくる学生は1人だけです。

石巻で活動をしていて、震災から「6年も」経つ、そういうと「6年しか」と言い直されることがあります。しかし、被災地以外の人にしてみれば、やはり「しか」ではなく「も」という見方に変わって来ているのです。学生の反応をみるとしみじみと感じます。

被災地の復興を考えると、今後、この温度差が足かせとなると考えています。

さて、あえての批判を覚悟して言います。これからの復興は、「しか」といった、失ったものを満たすという発想では、理解されないと考えています。

「満たされない」とか、「足りない」とか。それはマイナスからの発想です。そうすると、いつまで経っても埋まらないギャップに悩むことになります。


最近読んだ有川浩の「旅猫レポート」という小説にこんな1節がありました。猫のナナが飼い主サトルとの別れを覚悟してこう言います。

「サトルが僕を飼えなくなっても、僕は何も失わないんだ。ナナという名前と、サトルと暮らした5年間を得ただけなんだ。それはサトルと出会わなかったら絶対に手に入らなかったことなんだ」

満たされないものばかり見ていては、目の前にある問題にしか目がとどきません。そういう視点で問題を解決しようとすればすれるほど、つぎつぎと問題に目うつりするといった事態になります。

しかし、猫のナナのように「僕は何も失わないんだ。得ただけなんだ」と考えると、これからの未来に目が向きます。

いま、私たちが力を入れている活動に「復興ボランティア学ワークショップ」があります。ワークショップでは震災のことを学ぶだけでなく、地域の未来を考えます。

まず「ありたい未来」を考えてから、そこから現在に向き合うのです。このワークショップを全国で展開しています。

私たちのありたい未来は、震災復興で起きた問題を繰り返さないことです。復興の過程で起きている問題は、皆さんひとりひとりの身の回りで、既に起きている問題です。

今日みなさんのお手元にワークショップの資料をお配りしております。
どうぞ、私たちのワークショップを皆さんの地域で、そして組織で開催をしてください。よろしくお願いいたします。

私たち山崎ゼミナールは、未来を創ります。被災地だけではなく、日本の未来を創ります。

本日は特別賞を頂き、ありがとうございました。
​
石巻専修大学経営学部教授 山崎泰央
​山崎ゼミナール一同

やっさん

東日本大震災の仮設住宅支援、復興起業家育成に関わってきました。大学では、震災復興を考える講座やワークショップを実施しています。ここでは、復興ボランティア学講座の記録をまてめて、公開しています。

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やっさん

東日本大震災の仮設住宅支援や復興起業家育成に10年間携わってきました。現在は震災復興に関する講座やワークショップを実施しています。ここでは、復興ボランティア学講座の記録をまとめて公開しています。

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