10.OCICAが切り開いた外の世界

つむぎや

ドリームキャッチャーをモチーフにしたOCICAの作業はミリ単位で切り込みを入れる難しい作業。でも、女性たちは自習練習をしながら腕を磨いてつくっていた。そこへ被災地のために手伝いたいという若者を連れてきて、一緒に作業をしてもらうようにした。すると、手伝ってくれた若者たちは、自分たちの居場所に帰ってOCICAをPRしてくれた。それが積もり積もって、国内外60カ所で販売されるまでになった。

2014年5月20日 つむぎや 友廣裕一 Part10

ミリ単位で切り込みを入れる難しい作業

どんなふうに作っているかというのは、鹿の角を輪切りにします。表面を削って真ん中に穴を開けます。このパーツにするところまでを最初ずっと僕らがやってたんですけど、今は知り合いの人にお願いしてやってもらって、これをおかあさんたちが取って、そこから紙やすりを3種類使って、光沢が出るまでピカピカに磨きます。まあなんかワイワイやったりしてて。

表面に溝が入ってるんですけど、これをおかあさんたちが入れます。使っているのは超シンプルで、僕らが使っているのは全部ホーマック(ホームセンター)で買った道具しかないんです。だからチョー初期費用安いですね。

切り込みを入れる作業はすごく難しくて、ミリ単位の仕事なんです。切り込みの幅が変わったりすると全然模様がきれいに出ないのです。それから深さが変わっても出ないので、細かくおかあさんたちはやっていくんです。いまや73歳の一番最年長のおかあさんも、ひたすら自主練をしてクリアしてできるようになったんですけど。そういう感じです。

そこに漁網の補修糸、これは猟師さんが網を補修する糸なんです、を巻いていきます。これすごく細いんですけどチョー丈夫なんです。切れない糸を巻いていきます。で、こうやって出来上がります。

ものづくりの後のお茶っこが楽しみ

終わると、さっき言っていたみたいに、お茶っこをするのがある種の目的みたいな感じで。みんな終わったら、ユリコさんとかは自分で作った野菜を使ったお漬け物とかを持ってくるんです。これはすごい多いときなんですけど、いろんな人がいます。

最近はあまりお客さんがいないんですけど、立ち上げて1年目とかはめちゃめちゃ人がいっぱい来てくれて。一般には募集してないんですけど、僕らの知り合いとかで、「何か被災地のために手伝いたいです」という人はとりあえず来てもらって、おかあさんたちと一緒にこれ作ってもらうんですね、OCICAを。

作って、首からかけて帰ってもらう。そうしたらみんなが勝手にそれぞれの帰った場所で宣伝してくれる。「これ何?」って聞かれたら、自分の言葉でバーッとしゃべってくれるんです。これはね、こういう人たちがこうやって作ってて、こういうものなんだよ、というのを説明してくれる。そしたら、いろいるなところのお店が「じゃあそれうちでも売らせてよ」みたいな話になって、それが僕らのところに話が来て、販売店もどんどん増えていくという、結果的にそんな仕組みになってるんです。

まあこうやってお茶飲み会が楽しいんですよ、とりあえず。おかあさんたちだけでやってたらすごい大変になってくるじゃないですか。気分が乗らない日もあるみたいな感じになると思うんですけど、いろんな人が訪ねてきてくれて。特に若い人が来てくれたら、「あんたどこから来たの?」みたいな感じで、すごい盛り上がるんですね。で、滞らず常に新しい気が流れるみたいな感じで続いてきました。

サスティナブルな価格だけれども国内外60カ所で販売

あと定価なんですけど、あまり安くはないです。結構手間かかってるんで、それなりの値段で売っていて。ネックレスは2,800円。ピアスは5,800円で売ってます。そのうちの1,000円と2,200円というのが、作ったおかあさんの給料というか、作った人に入るようになっています。プラス共益費みたいなのも含まれているんですけど。

これ、誰のが売れたのかどうやって分かるかというと、おかあさんたちそれぞれの家の屋号のスタンプがあるんです。屋号のスタンプがパッケージの右下に押されてます。これですべて誰が作ったか分かるんです。基本的には、これが売れたら売れたお金をそのまま、僕らが取ったり、デザイナーが取ったりして、おかあさんたちもそのうち1,000円を取るというモデルになっています。

パッケージも、実はこれ米袋、地元の宮城県の米袋を使って、縫って作っています。あとで見てもらえたらと思うんですけど。

こんな感じで、今、国内外60店舗ぐらいで売ってもらっていて。そしたら全然営業とかしないんですけど、いろんな人が勝手に海を渡って営業してくれて。最近までニューヨークのグッゲンハイム美術館のミュージアムショップで売ってたりとか。バルセロナのカフェで売ってたりとか、アメリカのポートランドのカフェで売ってたりとか。半島の小さな漁村で作ってるものが、なぜか海を越えて結構評判がいいみたいな、すごい面白い状況ができています。

ちなみに石巻市内ではこんな場所で売ってます。かめ七さん、分かりますか?かめ七さんとか、IRORIとか、いしのまキッチン、市役所の下ですね。そんな場所で売ってるので、もし興味のある方はぜひ行ってみてください。

動画 Part10(2014年 つむぎや)


やっさん

東日本大震災の仮設住宅支援、復興起業家育成に関わってきました。大学では、震災復興を考える講座やワークショップを実施しています。ここでは、復興ボランティア学講座の記録をまてめて、公開しています。

関連記事

団体別インデックス

コメント

この記事へのトラックバックはありません。

最近の記事

  1. 12.東北で手仕事のタネを育てたい

  2. 11.笑顔の最大化がゴールです

  3. 10.OCICAが切り開いた外の世界

  4. 9.売るためにはデザインが鍵だった

  5. 8.鹿のツノでものづくりをしよう

やっさん

東日本大震災の仮設住宅支援や復興起業家育成に10年間携わってきました。現在は震災復興に関する講座やワークショップを実施しています。ここでは、復興ボランティア学講座の記録をまとめて公開しています。

TOP
Translate »