2.震災被害の5分の1は石巻だった

石巻市社会福祉協議会

東日本大震災の災害ボランティアセンターで奮闘していた、石巻市社会福祉協議会の阿部由紀さん。震災後の石巻では人口が減少する反面、親子世帯の分離によって高齢者の生活保護が増えていること、石巻市の震災被害が岩手県並みに大きかったことを指摘しています。

2014年4月22日 石巻市社会福祉協議会 阿部由紀Part2

東日本大震災後の石巻では人口減と世帯の分離が進んだ

現在の石巻の人口は15万人ぐらいです。平成の大合併時には16万ぐらいあったものが、これだけ減っているのです。震災によって減ったものもあれば、自然減もある。私の娘も仙台に就職していますが、若者世代の流出も地方都市の宿命です。

それから震災雇用ということで、東京とか関東の企業が間口を広げてくれました。そうやって自分の子世代の就職口があるわけですから、親世代の俺としては嬉しいわけです。

大手の企業に就職できた若者がいることも、うれしい限りなのですが、一方で20年後、30年後を考えると少子高齢化が、加速するわけです。これは、自分では逆らうことはできないので、それを受け止める方向でやるしかないと感じています。

世帯数を見てほしいのですが、人口は減っているのに、世帯数は増えています。これは今まで2世代、3世代が一緒に暮らしていた家族が、仮設住宅で分かれて暮らすようになったからです。例えば、年寄りの家庭と若夫婦の家庭で、別に暮らすようになった世帯の現れでもあります。

それプラス、年金収入で暮らしている高齢者は、息子さんとかと一緒に暮らしていれば、孫にお小遣いをあげる程度の支出だったものが、自分たちで光熱費を払うことになっています。例えば100万、200万貯めていたお金も、震災によって散財を迫られてから、3年がたちました。そうして、お金がなくなって、生活保護を受けるしかない人が増えていることも事実です。

石巻の被害は県域災害に匹敵していた

ここで宮城県と石巻の被害を比較してみましょう。石巻は宮城県内の被害の3分の1を占めています。ということは、今回の震災による被害の5分の1は石巻なんです。岩手県全体のがれきの量と、石巻の量とを比べると、ほぼ同じぐらいです。つまり、石巻市だけで県域災害と同じぐらいの被害だったということです。これを石巻市民は受け止めなければならなかったのです。

例えばみなさんが市民活動としてボランティアをするという時、目先の活動はすぐできるけど、でかい活動をするにはどうしますか。そういったときに「紙」が生きてきます。今の世の中、行政、お役所なんかでも「紙」が大事。
だから大規模災害に対応するための「覚書」を締結しているのです。これは県知事と市町村長、それから社会福祉協議会の会長の3人で「覚書」を結んでいるのです。大規模災害時には社会福祉協議会がボランティアセンターを運営しますよと。

この大学を会場にボランティアセンターの設置訓練をさせていただいたり、災害ボランティアフォーラムというのの開催を、こちらのホールでやらせていただきました。ボランティアセンターの設置も、当初は4号館で契約をしようかと話をしていたのです。

やっさん

東日本大震災の仮設住宅支援、復興起業家育成に関わってきました。大学では、震災復興を考える講座やワークショップを実施しています。ここでは、復興ボランティア学講座の記録をまてめて、公開しています。

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やっさん

東日本大震災の仮設住宅支援や復興起業家育成に10年間携わってきました。現在は震災復興に関する講座やワークショップを実施しています。ここでは、復興ボランティア学講座の記録をまとめて公開しています。

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