14.地域包括ケアモデル事業

石巻市社会福祉協議会

東日本大震災では災害ボランティアセンターで活躍していた、石巻市社会福祉協議会の阿部由紀さん。震災の影響が表面化してきた3年目、災害を受けて疲弊した地域福祉を再生するために、地域包括ケアのモデル事業が始まることになりました。今までの縦割りの弊害を排して、多職種連携による地域福祉を目指す取り組みです。

2014年4月22日 石巻市社会福祉協議会 阿部由紀Part14

多職種連携による包括的な取り組み

地域包括ケアモデル事業、これが石巻に今から始まります。もしかしたら新聞で見たことあるなという人はいるかもしれません。これって当たり前のことで、当たり前につながればできることなのです。

ところが多職種連携というのか、いろいろな職種が連携することが意外と縦割りです。情報の共有について、個人情報保護法なんていうのを勝手に読み違えてしまっています。個人情報は、個人が利益のあるものであれば共有していいはずなのです。

そこら辺が、住民の方々もそうかもしれませんが、これ個人情報だよ、何で俺の情報を言うんだよっていうかもしれません。それは確かに個人情報、そんなときは。ただその個人に有益な情報である場合は、互いにみんなが共に共有しあっていいと書いてあります。皆さんも個人情報保護法をちゃんと読んでみてください。そうすると分かると思います。

そうすることによって、他職種連携が可能になると思います。あとボランティアである我々、それから地域にいる民生委員さんや自治会の方会長さんたち、そういった方々と市の保健師やら医者、そういった方々がつながるということが今回テーマとして掲げている「地域包括ケアモデル事業」です。

これは石巻の今後を左右するものでもあろうかと思います。言うなれば昔に戻るみたいなものです。昔は協力しあったのです。それがこういうシステムを使わないとやれなくなっているのでやらざるを得ない。厚労省がモデル的に実施しているということです。社会福祉協議会は、こういった行政機関とつながりながら活動している部分があります。

皆さんこれを見ていただければわかるので、あまりくどくどと説明するものではないかと思います。やはりこれからは当たり前だったものを、見直す必要があると私自身は思っています。

地域で互いに協力し合える関係をつくりたい

地域に住んでいるということ、もしくは自分がこの災害や何かがあったらどうするかとか、ちょっと顧みてほしいなと思います。人は自分一人では絶対に生きていけなので、互いに協力し合う必要性というのは、どこかにあるんだと思ってもらえればいいかな。

ただ皆さんも、これから社会人として、いろいろなところに就職されて、いろいろな役割を担うことになると思っています。私も一つの役割を担うだけの人間です。でかいこともしたいなと昔は思いましたが、今は自分でやっている仕事が一つ何か成果をもたらせば、あとはいいかなと。しかし、それを受け継ぐ人や後輩の皆さんに何かを伝えていく必要はあるのだろうなと思います。

だからこの間、老人クラブの会員の方とお話したときに「先輩このまま死んでいいのか」と、この世の中を作ったのは皆さんではないですかと言いました。高度経済成長の、昭和40年代、50年代って、働かざる者食うべからずみたいな主義だったのですが、今はそれも変わってきています。

どうもその当時のつくりが、いまになって影響してしまっているのも事実です。我々はそういう教育を受けてしまったので、互いに連携し合うような世代ではないのかもしれません。だから我々世代が皆さんの世代に願うことは、ぜひ石巻ではなくてもいいので、どこかで誰かが困っているときに、手を差し伸べられるような人になってほしいと思っています。

やっさん

東日本大震災の仮設住宅支援、復興起業家育成に関わってきました。大学では、震災復興を考える講座やワークショップを実施しています。ここでは、復興ボランティア学講座の記録をまてめて、公開しています。

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やっさん

東日本大震災の仮設住宅支援や復興起業家育成に10年間携わってきました。現在は震災復興に関する講座やワークショップを実施しています。ここでは、復興ボランティア学講座の記録をまとめて公開しています。

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