3.ルールは自分たちでつくるしかなかった(2013年ワカツク)

ワカツク

2013年5月21日 ワカツク 渡辺一馬 Part3

仙台で若者の社会参加と人材育成を手がけるワカツクの渡辺さん。新設大学だったので、サークルもなければ、先輩もいません。そこで、自分たちでサークルを作り、部室を借りようとしたところ、事務局からは「前例がない」とはねられます。野田学長に相談へ行ったものの、「自分たちで考えろ」と説教で返り討ちに。さて、どうやってこの課題を解決したのでしょうか。

野田学長に相談したら「自分たちで解決しなさい」

どんな破天荒さかというと、象徴的なのはこれです。入学して、僕らしかいませんから、サークルももちろんありません。皆さん多分、大学に入ったら「何部入ろうよ」とか「こういうサークルがあるから来ない?」みたいなチラシ撒きに出会ったと思いますが、僕らのときはもちろんないわけです。じゃあつくろうと思って、サークルをつくったんです。

サークル室はすごく立派なものが大学にありましたので、借りに伺いました。「前例がありません」といって断られます。That’s県職員、最強です。前例主義がここで出ます。言った本人がびびります「あ、言っちゃった」みたいな顔します。言った本人も、いかにばかばかしいことだか分かけど、実際貸したことがないから貸せないわけです。

19だった僕は、野田先生に直談判をしに行きます。入学式でも、入学のオリエンテーションでも、野田先生は僕たちに「この大学はできたばかりだからいろいろな不具合があるだろう。僕のところに来い。いろいろなことを話そうじゃないか」と言ったから、行きました。

行ったら、「自分たちで問題解決してみなさい。それが高等教育を受ける者の義務である」というふうに説教をされました。じじい、逆ギレをしたと、僕は当時思いました。あんたが「相談しに来い」と言って、相談したら説教かと。30分ぐらいとうとうと。

でも、言われたことは本当で、今、大学は入ろうと思えば、入れるところになってしまったけれども、少なくとも野田先生が大学に通っていたころは、何かやりたいことがあって、学ばなくてはいけないことがあったから大学に行ったのです。

ここには書いていませんけれど、野田先生は僕たちに事あるごとにこう言ってました。「いやしくも大学まで来た人間が、人がつくった仕事なんかに就くんじゃないぞ。おまえらは仕事をつくる側の人間だ。仕事に就くというのは、中卒か高卒の人間がすることだ」ということを言ってきました。

昭和ばりばりの人です。お父さんはゼロ戦の設計者という話なので。でも、それぐらいしか時代は違わないのです。義務だと言われましたから、素直に僕たちは考えました。仲間を集めて解決方法を探り始めます。

ルールを作って持って行くが、事務局に拒まれる

皆さんにも考えてほしいのです。そうなったときに、皆さんだったらどういうことをするでしょう。時間の関係で、頭にポンと思い浮かぶぐらいで終わりにしますが。僕たちがこのときにやったことは、すごくシンプルで、ルールを作りました。

カギをどうやったら借りられるのかというルールと、カギはどう管理をするかというルールを作りました。要するに、ルールがないから貸せないんだということに気付いて、じゃあルールを作ろう。ルールを作って大学の事務局に持っていきました。

そしたら、今度事務局の方が「それは受け取れない」と。「なぜならば、君たちは考えたかもしれないけど、それは渡辺君たちが考えたのであって、学生総意ではないだろう」と。何だそれはと思って、「総意って何ですか」と。

確かに、270人ぐらいの学生のうち、70人ぐらいで議論はして作ったものではありますが、全体でいうと4分の1以下です。民主主義の原則からすると、残りの4分の3以上の方が従ってないかもしれない。それで、僕たちは署名活動をして、署名をほぼ全員分集めて持っていって、「じゃあ、話を聞きましょう」ということになりました。

18、19の若者たちが、社会のルールというものを作るという側に、初っぱなから立ち会えたのはとても幸運なことです。これを今皆さんに言って「じゃあどうするんだ」という話になりますが。後半戦の話でもありますが、ルールは破るものではない。作るもので、運用するものなんだけど、ルールがいずければ直せばいいのです。ということを、僕たちは18、19で学ばせてもらいました。

動画Part3(ワカツク 渡辺一馬 )

2013年復興ボランティア学 第5回 ワカツク Part3

やっさん

東日本大震災の仮設住宅支援、復興起業家育成に関わってきました。大学では、震災復興を考える講座やワークショップを実施しています。ここでは、復興ボランティア学講座の記録をまてめて、公開しています。

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やっさん

東日本大震災の仮設住宅支援や復興起業家育成に10年間携わってきました。現在は震災復興に関する講座やワークショップを実施しています。ここでは、復興ボランティア学講座の記録をまとめて公開しています。

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