4.「ひきこもり」ボランティアになる(2013年 TEDIC)

TEDIC

2013年6月11日 TEDIC 門馬優 Part4

東日本大震災後の石巻で教育系のNPOを立ち上げた門馬さん。病み日記コミュニティの「先生志望集まれ」というトピックを見て、教育系のNPOのイベントに参加しました。そこで、スタッフの人との関わりの中で居場所を見つけ、その団体でボランティア活動を始めます。

ひきこもり保護される

引きこもり保護される
君、大丈夫!?

行った先はどこかというと、実はそれは教育系のNPOだったのです。「ひきこもり保護される」と書きましたが、本当に保護されてしまったのです。

まず、そのトピックで行ったイベントで知り合った学生に、「何かNPOの説明会があるんだ。ちょっと行ってみない?」みたいに誘われたわけです。せっかく僕も久しぶりに外に出たので、「だったらその勢いで行ってみるか。ちょっと気が合うし」みたいな感じで、それこそ、そいつもサッカーをやっていたので、「マスターリーグもこんなにやった」みたいな話題で盛り上がって、そのまま行ったわけです。

誘われて行ったNPOが教育系のNPOなので、「今の日本の子供たちはここが課題なのです。社会的にここを解決していかないと、日本の将来はありません」みたいな説明を代表の人がしているわけです。

それを「ほお、ほお、ほお」と聴いていたら、説明会会場でスタッフの人に、僕はただ聴いていただけなんですけど、「君、大丈夫?」って言われたのです。声掛けられたのです。大丈夫って何だよ、みたいな。「君、目が死んでいるよ。何で人をいてつくような、貫くような視線で見ているの」みたいなことを言われました。

このNPOの説明会というのは、高校生や中学生を支援する側のボランティアを集めている説明会だったのですが、逆に「うちに来ない?」と誘われたのです。支援対象として。「君、そのままだとやばいから、うちが助けてあげるよ」みたいな感じで誘われて、行きました。保護されました。「うちに来ない?」というのは変な意味ではないのですが、支援対象者として誘われたわけです。

スタッフの関わりで心を開くことができました

門馬優

行った先でどんなことがあったのかというと、本当に当時の自分は、人のことをとにかく疑いまくる。「おまえはどうせ俺のことをこう思っているんだろう。だったら俺もおまえのことを嫌いになる。敵視してやる」といったように。とにかく自分に人が寄り付かなければ、つらい思いをしなくていいので、排他的な雰囲気をずっと出していたのです。

「俺に近づくんじゃねえぞ」みたいな雰囲気をずっと出していたのですが、そういう自分でもずっと声を掛け続けてくれるわけです、そのNPOの人たちは。「どこから来たの」とか、「誕生日いつなの」とか、「好きな食べ物は何なの」って。「好きなゲームは何」そこで「ウイイレ(ウイニングイレブン)」と答える。そういう感じでずっと話し掛けてくるわけです。

最初からずっと心を開いていたわけではないです。ただ、3カ月とか4カ月とかそこのコミュニティーにいるうちに、この人たちだったらちょっと話してみてもいいかなと思えた瞬間がありました。具体的に「これが」というわけではないのですが、なんかこの人たちだったら心を開いてもいいかなって、そう思えたのです。

これがそのときの写真です。右下にいる紫色の人が僕です。すごく引きつり笑いをしているんですけれど、無理やり口角上げて笑っています。笑っていないと笑い方を忘れてしまうというか。なので、すごく引きつり笑いなんですけれど。そういうことがありました。これが大学2年の夏です。

そういうきっかけがあって、ひきこもりの状態から一歩外に出ることができるようになりました。僕はこのNPOで、結局大学の4年までずっとボランティアというか、仕事というか、ずっとずっとしていました。やっぱりこのときの経験がすごく大きくて、それですごく救われたというか、生きていてよかったと思うようなときでした。

動画Part4(TEDIC 門馬優)

やっさん

東日本大震災の仮設住宅支援、復興起業家育成に関わってきました。大学では、震災復興を考える講座やワークショップを実施しています。ここでは、復興ボランティア学講座の記録をまてめて、公開しています。

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やっさん

東日本大震災の仮設住宅支援や復興起業家育成に10年間携わってきました。現在は震災復興に関する講座やワークショップを実施しています。ここでは、復興ボランティア学講座の記録をまとめて公開しています。

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