8.震災が浮き彫りにした地域の課題(2013年移動支援Rera)

移動支援Rera

2013年7月23日 移動支援Rera 村島弘子 Part8

東日本大震災で一人のボランティアとしてReraに参加し、法人の代表にまでなった村島さん。移動支援の現場から、地域が抱えている問題がありありと見えてきました。被災地は日本の未来を10年先取りをしているともいわれています。しかし、その問題というのは東日本大震災に限った問題ではなく、それ以前からから地域にあって、いままで見過ごされてきたものでした。

「移動」という切り口から見えるもの

震災だけの問題なのか
移動支援から見えた課題

ここまで、お話してきたことですね。いろんな問題がありました。それは全部、震災だけに限った問題なんでしょうか。移動支援ということで、ずっと移動専門にやってきているんですけれども、移動っていう切り口からいろんな問題点が見えてきます。

車に依存しきっているマイカー社会、それから、もうほんとの超高齢化社会。お年寄りばっかり、自分では何も、どこにも行けないような、足の悪い方ばっかり。地縁・血縁に依存する行政。バスとか公共交通機関とか、そういうものではなくて、地域の助け合い、それから家族の助け合い、そういうものに強く依存してきた。

地縁・血縁というのは、それはとても素晴らしいことだけれども、だけど、ほんとにもろい社会です。何かがあって、地縁・血縁が壊れたらどうなるのか、それがまさに今です。浜が被災してしまって、仮設住宅小さくて、結局バラバラに住むことになって。家族もバラバラ、じいちゃん、ばあちゃんだけで住んでいる。まわりもみんな知らない人。突然そういう社会になった時に、とてももろい、とても弱いことになってしまう。

そういうところで、この震災が、日本の未来の姿を10年早送りしているっていう、そういう言葉がささやかれたりとかしている状況です。

もともと地域にあった問題ばかり

村島弘子

震災が気づかせたものっていうことで、災害がきっかけで、いろんなことに気が付きました。先ほど申し上げたような、いろんな問題は、もともと地域にあった問題なんです。

そうやって、もともと困っている人たちはたくさんいた。もともと我慢しているような人たちもたくさんいた。だけど、とりあえず何とかなっているから、じゃあそのまま、なんとかしようと思っていたものが、全部洗い出されて、出てきてしまった。それが今の状況なのかなと感じます。だから、震災前の状態ではなくて、震災前よりも良い町に、壊れてしまったからには、そういうかたちにしていく必要があると思います。

前に、別なところの講演で教えていただいた言葉で、「復旧ではない。震災前に戻るっていうのは、20年前の社会に戻るっていうことだ」と。だから今、元に戻るのではなくて、もっと良いものをつくらないと意味がないのです。でも震災前は20年前くらい、立ち遅れている部分もあって、ところが震災で10年早送りして、あわせて震災をきっかけに、30年間高飛びしなくてはならない。ということは、まる一世代動かなくてはならない。それは激動になってしまいますよね。

そういうところでも、なるべく取り残される人がないように、きちっと考えて、とっても痛い思いをした結果として、その分を取り返すチャンスなのかなと思います。そういうものを担っていくのは、ここにいる若い世代の方たち。若いみなさんが、行動力とか、柔軟な感性とか、そういうものを使って、この先の社会を自分の目で見て、考えて、やっていけばいいのかなって思います。

やっさん

東日本大震災の仮設住宅支援、復興起業家育成に関わってきました。大学では、震災復興を考える講座やワークショップを実施しています。ここでは、復興ボランティア学講座の記録をまてめて、公開しています。

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やっさん

東日本大震災の仮設住宅支援や復興起業家育成に10年間携わってきました。現在は震災復興に関する講座やワークショップを実施しています。ここでは、復興ボランティア学講座の記録をまとめて公開しています。

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