7.全ての情報をオープンにして共有する(2013年プロジェクト結)

プロジェクト結

2013年7月9日 プロジェクト結 長尾彰 Part7

プロジェクト結は、多様なプロボノスタッフによって運営されています。被災地に常駐する現地班の他に、普段仕事を持っているメンバーが、チームに分かれて自分のできることを、できるだけの範囲で作業をしています。長尾さん自身もプロボノとして理事長職をしています。メンバー全員が頻繁に会うことが難しいので、グループウェアを駆使して組織内の全ての情報をオープンにして共有をしています。

様々な本業を持つメンバーがチームに分かれて作業しています

プロジェクト結運営スタッフ
運営のやりかた

「プロジェクト結」の構造の話、運営の話に戻ります。東京にだいたい40人ぐらいのプロボノのスタッフがいます。石巻はだいたい5人から7人ぐらい、現地班と呼ばれているメンバーがいます。「多様な人材」とありますが、大学生から社会人、それから自営業、社長をやっている人、役人、無職、いろんな人が集まっています

海外に住んでいる方もいます。現地班とか、資金班とか、広報班、総務班、経理班、IT班、学生班、法務班などといったようなチームに分かれて作業をしています。先ほど皆さんに紹介した中川さんは、現地班のリーダーです。僕は一応理事長という肩書が付いていて、どこの班にも属せないという、全部を見るみたいな。本当は寂しいんですけれど。そんな役割でやっています。それぞれの班にだいたい5~6人スタッフがいて、情報交換をしながら仕事を進めています。

普段仕事を持っている人たちが、頻繁に会って何か話をすることはなかなか難しいので、運営会議というものを月に2回、実際に集まってやっています。これは主に東京で運営会議をしています。石巻の現地班はスカイプというインターネットのテレビ電話を使ってミーティングに参加してもらっています。第2水曜の夜7時からだいたい10時ぐらいまで。それから第4土曜。隔週水曜日と土曜日の午後を使ってこの会議をしています。

月にたった2回、トータルで6時間ぐらいの会議の時間しかありませんから、情報共有をするための会議なのか、アイデアを発散するための会議なのか、たくさん出たアイデアをまとめる、収束するための会議なのか、まとめたアイデアの中から一つを選ぶ、決めるという意思決定をするための会議なのか、明確に区切ることをしないとなかなか結論が出ません。この運営会議は、できるだけ意思決定をするための会議として位置付けています。

情報はグループウェアを使って全てオープンにしています

グループウェアの活用
サイボウズLiveで情報共有

その代わり普段は、サイボウズというグループウェアがあるのですが、これで情報共有をしています。実際にお見せしたいと思います。生の情報です。れは現地班が東京にいるスタッフ、全国にいます、全世界にスタッフがいますから、「現地より愛を込めて」という名前を付けて、今日やったことの報告をその場でしています。「今日は市内の小学校に山形からサクランボを届けたいという方がいたので、僕らの学校とつながりが深いですから、幾つかの学校を紹介して配達するお手伝いをしました」とか。

これは日報です。「7月8日、月曜日。昨日」。97期というのは、おととしの5月からボランティアを東京から1週間の単位で受け入れています。月曜日の朝に石巻に入って、金曜日の夜に石巻を出るというボランティアの受け入れの、今週が97週目。次の、次の、次で、記念すべき100期目になります。「午前中こんなことをしました。研修をして、鮎川小図書台帳入力をしました」。石巻日和山にお住まいの、ゆかさんというスタッフは自宅でそれをやってくれました。午後は「みんなの場」をやりましたと書き込まれています。

昨日は、韓国の平和放送というラジオ局の方が取材をしたいということで、それを受け入れていました。これは正直に書いてあって面白いです。こんなようなことが書いてあります。「午前中の研修の模様と、午後は結のいえの取材に来て、個別に随分長くインタビューを受けました。とこちゃんも受けたそうです」。とこちゃんというのは、結のいえで働いているスタッフです。

記者も韓国からいらしたばかりで、事情がまだよく分かっていないので、型にはめた唐突な質問がたくさん出たのでしょうね。通訳の方がとても美人なので、塚原諒くんというのは現地で綾のサブリーダーをしてくれていますが、デレデレしていたんでしょうね。昨日は「みんなの場」を押切沼団地でやっていたので、こんな様子でやっていましたよということです。

ボランティアの振り返りから、実務的なことまで広く共有しています

それから、毎晩必ず現地班は、現地のスタッフと参加してくれたボランティアで、1時間から長いときは3時間ぐらい一日の活動の振り返りをしています。その振り返りも、このサイボウズを使って全スタッフが共有できるように。塚原くんはこの日報を提出したのが23時4分ですが、彼はこの時間まで毎晩働いています。日報を出すところまで、情報共有をするところまでが仕事です。「ふくちゃん」というのは三菱自動車にお勤めの方で、今回97期に参加をしてくれたボランティアの方の発言。「つか」というのは、つかちゃんの発言。「あや」というのは、先ほど紹介した中川さんの発言です。

このサイボウズには、「いいね」の機能があるので、これを見ましたよ、いいねと思ったら「いいね」を押します。中川さんは何かを嫉妬していたんですね。何を嫉妬していたのかな。開北小学校でのTボール大会。私もやりたかったと。じゃあ、中川さんの嫉妬に対しての「いいね」を押しておきます。

すごく実務的なことも共用します。現地車両。今、車を6台持っているので、その管理もどうしたらいいかということを全員で共有しています。「山口県の方が結にこの車を寄付してくれました。その手続きが終わりましたよ」という報告。

何かを共有したりアイデアを出すのは、このサイボウズを使ってやっています。このサイボウズLiveというのは無料です(注:サイボウズLiveのサービスは終了しています)。200人まで無料で使えたのかな。ファイルを共有することもできます。ここに結構生々しい感じで出ていますけれど。登記簿抄本というマニアックなのも、全員が見られるようにしています。すべて情報をオープンにしていますということをお伝えしたかったのが、サイボウズです。

このグループウェア「サイボウズ」で、たくさんの情報の共有を全員がしています。石巻で起きていること、東京で起きていること、みんなが共有をする。情報をオープンにすることを心掛けています。それから毎晩の振り返りで起きたことも、石巻で今何が起きているかということをきちんと東京のメンバーに伝えないと、ミスマッチが起きてきたりします。それから温度差。石巻で一生懸命やっている人、東京で何をしていいか分からない人の温度差が開いていってしまうので、それをカバーするために情報をできる限りオープンにしましょうということをしています。

動画 Part7(プロジェクト結 長尾彰)

やっさん

東日本大震災の仮設住宅支援、復興起業家育成に関わってきました。大学では、震災復興を考える講座やワークショップを実施しています。ここでは、復興ボランティア学講座の記録をまてめて、公開しています。

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やっさん

東日本大震災の仮設住宅支援や復興起業家育成に10年間携わってきました。現在は震災復興に関する講座やワークショップを実施しています。ここでは、復興ボランティア学講座の記録をまとめて公開しています。

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