もくじ
2013年7月9日 プロジェクト結 長尾彰Part11
長尾さんはプロジェクト結の理事長として、プロボノによる復興支援を続けてきました。その経験のなかで学んだ活動で大事なことは、自分たちの活動が社会にどんな影響を与えているのか常に考えることだと言っています。復興支援の現場では、支援をすることや、人が人を助けることは何なのか、常に問いかけることが大切なのです。
誰の役に立っているのかを意識しています
それからもう一つ、重視していることとあります。誰にどのような影響を与えるのか。こういった支援活動、特にボランティアをやっていて危ういと思うのは、これはいったい誰の役に立っているのだろうかということを常に考える必要があると思っています。
社会にどんな影響を与えているのか。今日は午前中、子供たちにサクランボを配ってきました。このサクランボを配るという行為が、子供たちにどんな影響を与えるのか、あるいは子供たちを取り巻く学校にどんな影響を与えるのか。学校がある地域に、あるいは社会にどんな影響を与えているのかということを常に考える必要があると思っています。
今日はここでも長く時間は取りませんが、SROIという指標があります。社会的投資収益率Social Return On Investmentとあります。今日、山形の方が石巻にサクランボを届けてくれました。中川さん、何ケースぐらい届いたのですか。粒は5,000粒。100kgぐらい。何校に配ったのですか。20校。100kgのサクランボを20校に配った。これはどういう社会的な効果があったのかということを、みんながいつも考えないといけないよねという話です。
社会的投資収益率SROIといいます。ROIというのは、もともとは企業の経営用語です。1,000円で株を買いました。1,000円その会社に投資をしたら、1年後に1,030円になって戻ってきたら0.3%の収益率ですという考え方なんですけれど。これのソーシャルが付いたもの、この10年ぐらいでだんだんできてきたものなのですが。誰にどういった影響を与えるのかを常に考えておく必要があります。
仮設住宅の見回り・見守りをすることで、誰にどんな影響があるのか。それが金額に換算されるとどれくらいになるのか。100kgのサクランボを20校に配った、山形からそれを持ってきた、多分トータルで20~30万円ぐらいのお金、コストがかかっています。例えば30万円お金がかかったとして、その効果。30万円かけて100kgのサクランボを配ることで、子供たちにどういったプラスの効果があるのかということをきちんと考えておく必要があるなと。経営者としてですよ、リーダーとして。
そもそも「支援」ってなんだろうか
それから、「行政にできないこと、民間にできないことを市民で」とあります。社会的包摂の話をしました。公平性。行政の良さというのは公平にできること。民間にできるというのは、収益性を目指せること。その谷間にあることを市民でやるためには、ということをいつも気にかけています。「居場所と出番」という言葉があったりしますが、僕じゃなくてもできることは誰かにやってもらえばいいし。誰かができないことは、代わりに僕がやればいいし。お互いさまだし。
「自治と参加」とあります。自分たちで決めて、自立した市民になるための支援の在り方って何だろうといつも考えています。それから、ボランティアへの参加の仕方、やっている活動そのものへの参加のしやすさ。大学生でも参加しやすいようなかたちになっているかどうか。社会人でも参加しやすいかどうか。社会人を引退された方でも参加しやすいかどうかということを、常に気を付けているようにします。
もうそろそろ最後になりますが。そもそも「支援」って何だろうと。2年半たって、僕たちがやっている活動をやめても誰も死なないです。誰も困らないかもしれない。でも、「やってくれ」とお願いされることもある。自立をするための「支援」なのか、依存を生んでしまうような「支援」をしているのかということをいつも考えているのですが。そもそも支援をするって、人が人を助けるっていったいどういうことなんだろうということを考えています。
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