8.幸せは金銭という尺度で決まらない

On the Road

2013年5月7日 On the Road 魚谷浩 Part8

東日本大震災のボランティアをきっかけに石巻に定住した魚谷さん。不安定な収入であっても、やりたいことが何でもできるので、幸福感の高い生活を送っています。幸せは、金銭という尺度で決まらないことを、復興支援の経験を通して実感しているそうです。

「よそもの」と言われても

なんか、よく最近、こういうプロジェクトを進めていくと、またあらためて、やっぱりよそ者だと言われることがよくあります。僕はよそ者で、それでもよくて、しょせんよそ者だと思っています。そこで暮らしてきた歴史というのは、土地の人より浅いですから、私は仕方ないと。そこで意地を張るつもりもないです。

でも、よそ者だとしても、母国を愛したり、日本のすばらしさを共感できたりっていうのは、すごくできるので、できればそういうすばらしさがあることに、皆さんも一緒にゴミ拾いでもしながら、気づいてもらいたいです。

他にも新たな遊び、サブカルチャーなんかも生んで、本当に石巻発信で、いろんな事がこれからもできると思っているので、やれることだったらみんなで一緒にやりましょう。

こんなよそ者でもよかったら、何か一緒にさせていただいて、こういった授業もそうですし、とにかく遊びましょう。遊びの中に新しいきっかけが出てくると思います。僕はそんなつもりでこれからもしばらく、この石巻というところで生活をしていこうと思っています。

幸せのリミットのない生き方をしています

僕は前職のとき、ある程度の責任のある地位にいました。達成感も、やりがいもある仕事を、10年ほど続けていました。収入についていえば、正直20代のそのときのほうが、倍以上良かったです。というのも、僕はいま安定した所得が一切ありません。NPO団体のときには、最低の生活保証はいただいていたんですが、そこを辞めてから安定なんて一切ない。

僕は最近、身近な人によく「お金にならないことばっかりやって」と、よく言われるんですけど。不思議と幸福感は、今のほうがあるんです。オンザロードで一緒に活動していた仲間で、移住しているメンバーの1人がいいことを言ったんです。

「僕はこれから先、低所得・高幸福をめざしてがんばります」って。低所得であろうが、高所得であろうが、幸福感ってあんまり変わらない。たとえば僕は、今本当に安定なんて一切ないけども、日々楽しくて仕方ないです。

ただ、僕にも親がいて、その親が安心しているかって言ったら、それはとてもじゃないけど安心はしてないと思います。ただ僕が、そこで後ろ向きな姿勢だったり、目線を落としていたりすると、親はより不安になると思いますが、残念ながら僕の性格上、くよくよすることなく、よりポジティブに生きています。

1つの企業の安定した職でも、幸せは得られるけど、その幸せにはリミットがあるんじゃないかなと思っています。僕はいま安定した職がないけど、何でもできるため、幸せのリミットがないんです。

希望や夢が幸せを生むと思います

この蛤里プロジェクトを進める中で、先月、代表の亀山さんと一緒に、西日本を旅してきました。その中には、過疎の村に若者が何年か前に入って、地域おこしに成功している事例がたくさんありました。

安定を求めて仕事としてやっている人は、この旅の間にあまり出会うことはなくて、それより、これから新しい何かを生み出そうという希望だったり、夢を描いている人が、たくさんいました。幸せって、本当にイコールお金ではないということだけは、僕が皆さんに伝えられることです。

わかりやすい顔をしているので、どこかで見た際に、あの時授業を聞いたんですけど、何を言っているかわからなかったですとか、声をかけてください。何はともあれ、こういう活動と、蛤浜でこれから進めるプロジェクトには、注目していただきたいと思います。

これからも僕は、こういったことをひろげて、つなげる役目として、生活していきたいと思います。ありがとうございました。

やっさん

東日本大震災の仮設住宅支援、復興起業家育成に関わってきました。大学では、震災復興を考える講座やワークショップを実施しています。ここでは、復興ボランティア学講座の記録をまてめて、公開しています。

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やっさん

東日本大震災の仮設住宅支援や復興起業家育成に10年間携わってきました。現在は震災復興に関する講座やワークショップを実施しています。ここでは、復興ボランティア学講座の記録をまとめて公開しています。

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