もくじ
2013年7月13日 め組JAPAN 河野心太郎 Part8
東日本大震災の10日後に会社を辞め、め組JAPANで支援活動を始めた河野さん。め組JAPANは、津波に遭い、家も、人もなくなった南浜地区で、ひまわりの花を咲かせるプロジェクトを始めました。かつての住居をひまわりの花で彩ることで、そこに住んでいた住民さんの笑顔を取り戻し、少しでも心の復興につながればと考えた活動です。いま河野さんは、報告会で全国を行脚しながら、南浜で採れたひまわりの種を配っています。
ひまわりを植えることで、少しでも希望が灯せたらいいな
他にも、南浜ひまわりプロジェクトっていうのを、うちでやったんです。南浜町という、とても被害が大きかった所なんですけど、震災前は2千棟ぐらいの住宅があったらしいんです。そこが津波によって、ほとんどが流されてしまったり、全壊になってしまって、今はもう、人が住むことができないような状況になっています。
仮設住宅とかを回っていると、そこに住まわれた方に会ったりします。そうすると、ほんとに大切な場所、自分たちの思い出が詰まった大切な場所なのに、そこに行くことができないんです、というふうに言われるんです。いまではその人達にとって、ほんとに怖い場所になっていたんです。
でも、その怖い場所っていうけど、やっぱりその人たちが育った場所なので、そこで、ひまわりを植えることで、少しでも希望が灯せたらいいな、ということで始まったのが「南浜ひまわりプロジェクト」です。
これは2011年4月7日に日和山から撮った写真です。2012年4月頃にプロジェクトが始まったので、南浜へ行ったときの写真です。こんなことしよう、あんなことしようって、これだったらすごい希望につながるんじゃないかっていうふうに、話の中では簡単なんですけど、いざ自分たちがその現場に立った時に、大丈夫かな、とか、本当にここへ入っていいのかな、とかっていう感情が湧いてきました。
ほんとに自分たち何ができるんだろうっていうふうに、思いました。ほんとに呆然としてしまって、それでも、何か一つでも希望につながればいいなっていうことで、みんなでひまわりを、民家跡に植えさせてもらったんです。そこのお家の方に許可をいただいて、そこの土地にひまわりを植えたんです。来る日も来る日も、瓦礫をのけて、ただ撒くだけでは育たないので、畝を作って、そこにひまわりを植えるっていうような活動をしていました。
でもやっぱりみんな笑顔は絶やさず、ひまわりが咲いた時に、住民さんがどんな顔をしてくれるかなとか考えて、まず自分たちがワクワクしながらやってました。そこの家の人たちが、怖い場所じゃなくなって笑顔が戻ったら、自分たちがやった意味があると思って、笑顔を絶やさずにやっていました。
各民家跡で、こいついつ植えましたっていうな写真をとったりしていました。全部のひまわりが、芽を出したわけではなかったんですけど、いろんなところでひまわりが咲いたんです。
ちなみにこの南浜で、去年の夏にひまわりを見たっていう人いますか。あんまりいないかな。あんまり行かないか。でも実は、こういったことをしていたんです。誰が見るとかじゃなくて、ほんとは住民さんと一緒に植えられたらよかったのかもしれないですけど、そう簡単にいくものじゃないので、自分たちがその方たちの代わりに、そこにひまわりを植えさせていただくことをしていました。
ひまわりが人と人をつながりを導いてくれました
その、ひまわりの採れた種を持って、今年の1月に写真展を、ナリサワギャラリーさんっていう、石巻駅の北にあるんですけど、そこでやらせていただきました。その時、たくさんの人に来ていただいて、南浜で採れた種をお返しすることができました。
この写真展は新聞とかにも載せてもらったので、全国からボランティアが帰ってきてくれました。ボランティアとボランティアの再会の場でもあったんです。あとは、ボランティアと住民さんの再会の場でもありました。久しぶりに帰ってきて、「ああ、元気だった」っていうような、再開がありました。
もう一つ大きかったのは、住民さんと住民さんの再会があったんです。これも何件かありました。3日間やっていたんですけど、たまたまそのタイミングで、たまたまその時間に、この場所で顔を合わせて、「ええっ、生きていたの」っていうようなことがあったんです。1年10ヶ月ぶりの、再会だったそうです。その住民さんたちが再会した時の写真がこれなんですけど、すぐ近くで見てたんですど、ほんとにやってよかったなって、当時思いました。
1年10ヶ月経っても、生存を確認してなかったり、連絡がとれないままだったり、そういう人たちが、今でもいるんです。でも、そこで再会できた喜びにかえられたっていうのは、そのためだけに、夏暑い中みんなでひまわりを植えたんだなって思いました。ほんとやってよかったなって思いました。
いま僕は全国各地を転々としながら、報告会やって回っているんですけど、その時も採れた種とか渡しています。石巻で採れた種を、全国に発信して、それをまた植えてくれることで少しでも繋がりを持てる、それが希望の種になればいいなと思っています。当時も、今も、そういった気持ちで、種を配っています。
今は、通称ジョッキーさんっていうんですけど。この男前のジョッキーさんが、去年の夏、ずっとひまわりを育てていたんです。先頭にたってやっていたんですけど、ひまわりに惚れてしまいまして、今年も南浜町で、実はひまわりを植えています。しかも一人で。たまにボランティアさんが来たりはするんですけど、基本的には一人で植えています。
だからちょっとでも興味があったり、ちょっとでも時間があったら、声掛け行ってみてください。差し入れとかしたら、すごく喜ぶと思います。一緒に活動してくれたら、もっともっと喜ぶと思います。孤独って言ったらおかしいですね、一人でがんばっている方です。まずは自分から何か動き出すということで、種を植えているんです。そのひまわりが咲いた時に、それがどうなるかわからないんですけど、自分はひまわりの種を植えるということで、今も続けています。よかったらそのひまわりを、南浜町に、足を運んで見てください。ちなみに今日も、作業をしていました。
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