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2013年7月16日 め組JAPAN 河野心太郎 Part5
東日本大震災の10日後に会社を辞めて、め組みJAPANの活動に飛び込んだ河野さん。現地で物資庫のリーダーになったものの、なぜか必要とされている物資が、動かないことに頭を抱えていました。 スタッフたちと夜な夜な語り合った結果、「何か必要なものはありませんか」といった被災者への聞き方に問題があったことがわかります。その経験から、話し合い、知恵を出し合うことの大切さを学びます。
必要とされているはずの物資が動かないのはどうしてだろう
当時、僕は物資庫のリーダーをさせてもらってたんですけど、ほんとに全国からたくさんいろんな物が来るんです。その当時、すごく悩んだのが、たくさん物資が届くんだけど、物資がなかなか動かない、出ていかない。これって何でだろうと思って、絶対必要な所があるのに、何ではけないんだろうって、当時思っていたんです。
それで、物資を届けるチームだったり、避難所を調査するチームに確認して、いろいろ打ち合わせをしながら、夜な夜な話をしていました。まず聞く時に、何か困っていることはありませんかとか、何か必要なものはありませんかって、聞いていたらしいです。逆の立場だったら、それを言われた時に、とりあえず食べれてます、だから大丈夫ですとか、物資に何があるのかもわからない状態で、何が必要って言い出しづらいなと思うようになりました。
みんなで夜な夜な話していくうちに、まずは物資庫のほうで、今どんなものがどれだけあるかリストにして、それを伝えてもらって、何がどれだけ必要かっていうのを聞いてくれるようにしてもらったんです。例えば、カップラーメンとか、そういうものも、たくさん届いていました。カップラーメンを食べるためには、お湯を沸かす水が必要で、お湯を沸かすためにコンロだったり、ボンベだったり、食べるお箸が必要だったり、沸かすための鍋が必要だったり。
これだけでもカップラーメン食べるのに、6個くらい必要なものが出てくるんです。例えば、沸かすものがあって、鍋があって、あとは水があったら、それで味噌汁が作れたりします。野菜を持っていったら味噌汁作れます。
当時はお風呂に入れないし、ライフラインが全部止まっていたので、体とかも洗えないわけです。風呂に入れないくても、そういうお湯があったら、体を拭けるかもしれない。だからタオル持っていこうとか、そういったことを、発想を、想像力をかきたてて、そういう聞き方をしてほしいってなりました。そういう聞き方をすると、どんどん物資のが、必要なところに届けられるようになりました。
被災者と支援者のギャップを埋めるには
ほんとにボランティアが初めての人たちばっかりなのに、こうしたほうがいいんじゃないか、ああしたほうがいいんじゃないかっていうのを、夜な夜なみんなで考えて、シェアリングをして、そういう答えにたどり着いたんです。やっぱりそうやって、みんなで話す、みんなで知恵を出し合うっていうことは、とても大事だなって思ったんです。
そこで、ちょっとみんなにも、その当時を想像して考えてもらいたので、ワークショップをこれからしたいと思います。では、みんなでちょっと考えてみましょう。今緊急時で、当時のような状況で、被災された側と支援する側に分かれて、何が必要か考えてみましょう。(グループ討議)
一旦それで、終わりにしてください。被災された側と、支援する側と分かれてもらったと思うんですけど、そこでちょっと、シェアリングをしてもらえますか。片方ずつ、うちはこんなものが必要だった。うちではこんなものが必要だったっていうのを、ちょっと話し合ってみてください。(グループ討議)
いろいろ出たと思うんですけど、実際それ、どうですか。食い違いってありましたか。考えてみてくだし。なんか立場によって、必要な物だったり、出てくる考えって、全然違うと思うんです。
何が言いたいかというと、緊急時こういう物が必要ですよっていうことではなくて、これって普段から、相手の事を思いやるとか、想像して何かをするっていうのは、できることなんじゃないかなって。けっこう、そういうことに限って、欠けているところじゃないかなっていうふうに思うんです。
例えば、何か仕事を任された時に、それだけをこなすんじゃなくて、もっと相手が何を求めているのかなっていうのを考えると、もっといろんな事ができたり、そこからまた新しいものが生まれたりとかっていうことが、実際にあると思うんです。だから、ただ、一方的にこんなものが必要かな、とかだけじゃなくて、いろんな人と話し、シェアをし合いながら、相手の要求を受け取るっていうのも、すごく大事なことだと思って、こういったワークをしてみました。
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