9.できないことは「積極的ひとまかせ」(2013年 ISHINOMAKI2.0)

ISHINOMAKI2.0

2013年5月28日 ISHINOMAKI2.0 松村豪太 Part9

東日本大震災で被災した石巻を面白い街に変えるため、ISHINOMAKI2.0の活動を始めた松村さん。あるとき、被災した空き店舗を自分たちで改修して「復興バー」という、面白ことが好きな人たちにたまり場を作りました。この店を銀座に開きたいと考えたけど、賃料が高くてとても無理でした。ところが、あるひらめきで、銀座出店が実現します。

復興バーの成功に気をよくして東京進出を考えたものの

復興バー

これもスタート当時にあった思いなんですけれども。みんなで集まれるかっこいい所をつくりたいと、もともと空き店舗だった所を、もちろん被災して天井近くまで津波が来ているところを自分たちで改修して、「復興バー」をつくりました。

すごく狭くて10人も座れるか座れないか、一応席はあるのですが、10席座ると本当に隣の人とぎゅうぎゅう詰めになってしまうような場所です。なぜか最高記録で、29名入ったという。こんな感じで営業しています。

復興バーが、なんか成功したので、少し欲が出てきて、進出したいなと。進出なら、東京だろう。東京の中でも、田舎者の精神からすると「成功といえば銀座だよね、銀座に店を出したいね」と思ったのです。ただ、銀座は日本一地価が高い所だと思います。これは店舗の賃料相場を出しているサイトで調べたんですけれども、だいたい坪単価平均4万円。復興バーが6~7坪ですから、それでも家賃が20~30万かかる。

だいたい銀座とかで飲食店を出すときには、敷金だったり保証金とかで1年分ぐらいの家賃を最初に払わないといけません。30~40万円かかるということは、300~400万円最初にかかるということです。でも、われわれにはお金がない。じゃあ、どうするか。ここでデザインです。

いろいろな人、面白い体験をしたいと思っている方は東京にたくさんいます。もちろん石巻にもいますけれど。あるいは、離れていて何か復興支援に関与したいという思いを持っている方もたくさんいます。そういうニーズ、思いを、労力と交換すればいいのではないか。楽しみながら東北を応援したらすてきじゃないかと考えました。

それで考えた仕組みは「積極的人任せ」です。復興バーを自分たちでやるのではないのです。もちろん、われわれにはそれだけの人間の数もいません。それでも実施してしまいます。

面白い活動をしていると他人が助けてくれるようなります

復興バー銀座

今月末から1カ月間限定で銀座に復興バーを出店することが決まりました。これも、とあるイベントで出会った、東京で被災地東北への思いを持っていらっしゃるイベント企画会社の方が、ぜひお手伝いさせてくれということで、向こうで事務局的なこと、あるいはアイデア出しを本当に一生懸命、献身的にやってくださって実現した企画です。

考えたのが、毎日「日替わりマスター」にすればいいのではないかと。それを、もちろん単にアルバイトとして雇うのではなくて、参加料を取ります。日替わりマスターをする権利が1万5,000円です。それもきちんと事業計画を立てます。もちろん一日マスターをやるような奇特な人というのは、ある程度余裕のある立場のある方です。

社長業をやっていたり、作家をやっていたり、昼間ラジオのDJをやっているような人が日替わりマスターをするのです。そういう人は皿洗いとかの経験がないので、アイデアとか想いがあっても多分そういうのに耐えられないだろうということで、きちんとアルバイトを用意する。人員2人、若いイケメンの子を2人ちゃんと労働力として確保しておきます。

こういうISHINOMAKI2.0みたいな面白い活動を応援してくださる、銀座でそば屋さんをやっているオーナーの方が、「じゃあ、1カ月だったら貸してもいいわよ」ということになりました。そのそば屋さんはメインの営業時間は昼間で、夜は遊ばせているので、その遊ばせている時間で家賃をお支払いしてお借りしました。

もちろん水道代・電気代とかもかかります。あとアルバイトの人件費を考えると、1万円ぐらいは経常的にかかるのです。それを割って、それプラス団体に利益が出るように、まず一日マスターをするために1万5,000円払ってもらう。

一日マスターには報酬として、売上の5%をお支払いします。「おお、すごいな」と思うかもしれないけど、よく考えてみると、売上の5%をもらって、参加料の1万5,000円を回収するためには、一日の売上が30万円必要なのです。つまり、初めからもうけを目指す人は参加をしません。

お金を払って復興バーのマスターを体験する権利を買っていただいて、それを楽しんでいただく。そういう復興だったり、石巻だったり、東北支援というようなテーマでつながる、コミュニティーの中の人たちとつながれる場を用意する。キャバクラに比べれば安いですよね。一日1万5,000円で遊べるのですから。

そのほかに、一応回収する手段も考えています。マスターの方が自分でちゃんと働いて用意する、オリジナルメニューというのも提供可能にしていて、「オリジナルメニューに関しては売上を全部持っていってください」と、さすがにそこまであこぎなことはできませんので、言っています。

動画 Part9( ISHINOMAKI2.0 松村豪太)

やっさん

東日本大震災の仮設住宅支援、復興起業家育成に関わってきました。大学では、震災復興を考える講座やワークショップを実施しています。ここでは、復興ボランティア学講座の記録をまてめて、公開しています。

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やっさん

東日本大震災の仮設住宅支援や復興起業家育成に10年間携わってきました。現在は震災復興に関する講座やワークショップを実施しています。ここでは、復興ボランティア学講座の記録をまとめて公開しています。

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