11.ヨソモノのワカモノを街に残す(2013年 ISHINOMAKI2.0)

ISHINOMAKI2.0

2013年5月28日 ISHINOMAKI2.0 松村豪太 Part11

東日本大震災で被災した石巻を面白い街に変えるため、ISHINOMAKI2.0の活動を始めた松村さん。災害ボランティアで石巻に来た若者の中には、石巻に魅力を感じて定住を望んでいる人たちもいます。しかし、いくら住み続けたいと思っても、被災した街には住むところがありません。そこでISHINOMAKI2.0は、ある秘策を持って、住居のあっせんに取り組みます。

町に残りたい、でも住む場所がない

2.0不動産

次のわれわれの大きなプロジェクト、「2.0不動産」(注、巻組として事業を継続しています)というのが動きだしています。もう不動産業まで進出してしまいました。

ここに第3回目のゲストで魚谷さん、通称「ひろにい」が来たと思います。彼は、実はもともとオンザロードというボランティア団体の、石巻のリーダーでした。そこから出て、自分で蛤浜の再生というプロジェクトを進めています。そのヒロニイは、住居は復興バーのビルの上です。すごく狭いビルなのですが、そこの3階、4階にカップルでひろにいは住んでいます。

そういうふうに、初めはボランティアという立場でこの町に来たけど、まだまだこの町で自分にはやることがある、自分にとって居場所があるという若者がいます。あるいは、町の人の人柄、浜の人とか、町のお父さんお母さんの人柄にほれて、もっとこの町にいたい、そういう思いを持っている若者って実はたくさんいます。彼らは、地元の浜の手伝いをしたり、普通に工場に就職したり、町で起業してしまった人もいます。

そういう人にとって一番の課題。これは復興民泊の課題とかぶるのですが、住む場所がないのです。町に残りたくても居住する場所がない。皆さんの中には、この大学の後ろには日本最大の仮設住宅団地が広がっていて、そういった方との触れ合いというのもあるかもしれませんが、まだまだ石巻市民ですら住居がないんです。

もちろん、やはりもともと石巻に住んでいた方、被災した方の住居を用意する。そちらの優先順位が上なのは当然のことだと思います。ただ、そうしますと、震災を契機にこの町に入ってきて、商売を始めよう、新しい事業を始めようという若者がせっかくいるのに、彼らが住む場所がなくて受け入れられないのはとてももったいないことだと思います。

再開発の土地は事業が終わるまで「塩漬け」です

松村豪太

いま石巻の街中では再開発事業が進んでいます。「再開発」という言葉は、テレビなんかを通して聞いたことがあると思いますが、具体的に何のことか分かりますか。決して、国が土地を買い上げますとか、強制収用とか、そういう話ではないのです。

民間主導で何人かで事業主体を組みます。土地を持っている人、近所の人、何人かで集まって、三菱不動産とかそういうデベロッパーを入れて、大きな一つの土地にまとめて、その上に高い建物、だいたいバブルのころだったらそれこそ10階〜20階建てのビルを建てたのですが、最近はそういうのははやっていなくて、それでも5階建てとかのビルを建てるのです。

つまり、床面積を増やすのが再開発事業の端的な目的です。垂直方向に床面積を増やすことで、もともと土地を持っていた人たちが、より利用できる空間を作る。そしてオーナーさんは家賃収入を得て、もともと持っていた土地をデベロッパーに売ったりして自分も住み続ける、というのが再開発事業です。

ただ、それはだいたい3年とか5年とかの期間を持った事業です。近くの人たちと再開発の組合を組まなければいけないのです。みんなで合意してこういう建物を造りましょう、あるいは市や国の助成金を得るためにさまざまな交渉を重ねていくので、非常に長い時間がかかります。その間、その空間は塩漬け、使われない場所になってしまうのです。非常にもったいないことだと思います。

動画Part11( ISHINOMAKI2.0 松村豪太)

やっさん

東日本大震災の仮設住宅支援、復興起業家育成に関わってきました。大学では、震災復興を考える講座やワークショップを実施しています。ここでは、復興ボランティア学講座の記録をまてめて、公開しています。

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やっさん

東日本大震災の仮設住宅支援や復興起業家育成に10年間携わってきました。現在は震災復興に関する講座やワークショップを実施しています。ここでは、復興ボランティア学講座の記録をまとめて公開しています。

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