5.仮設住宅で住民同士のつながりづくり(2013年 石巻ふるさと復興協議会)

石巻ふるさと復興協議会

2013年6月4日 石巻ふるさと復興協議会西本健太朗Part5

震災後、関西から石巻へ来て、避難所の支援活動をしていた西本さん。2011年7月頃になると、石巻では仮設住宅への入居が始まりました。西本さんは、避難所で出会った人たちが、どのように過ごしているのか気にかかって仕方ありません。そこで、「石巻ふるさと復興協議会」のスタッフとなって仮設住宅のコミュニティ支援を始めました。

住民自治組織の立ち上げをお手伝いしていました

自治組織設立サポート

7月、8月になると、避難所にいた方たちが、仮設住宅にどんどん入っているのが分かりました。避難所でお会いしていた方たちが、仮設に行って大丈夫かというのがすごく気になっていました。

そのときに、ちょうど仮設住宅での支援を考えているというお話しがありました。石巻ふるさと復興協議会です。元は石巻スポーツ振興サポートセンターさんで、先週お話ししていた松村豪太さんも勤務されていました。そこが、ふるさと復興協議会というのを立ち上げるというので、僕は仮設住宅のコミュニティ形成支援を担当させていただくことになりました。

活動内容ですが、住民さんが自治会を頑張って立ち上げるとか、自治会までいかないけれども、お世話役の方々で集まって問題点を話し合ったりするような会議のサポートをしていました。この写真で立っているのは亀山市長ですが、自治会の立ち上げの総会のときにいらっしゃいました。仮設住宅での住民同士のまとまりというのが、行政としても求めていました。

お坊さん主催の茶話会は大人気でした

お坊さんカフェ

コミュニティ形成として「お茶っこ(茶話会)」。これはうちでやっていた特殊なやつで、大人気で人が集まってくださるのですが、「お坊さんカフェ」というのをやっていました。

宮城県内には曹洞宗のお坊さんが多かったのですが、宗派関係なく宗教者としてできることは何かというのを考えた結果、お寺に来てもらうということではなくて、自分たちで仮設住宅に行ってお話を聞いたり、楽しく話したりしようとなりました。あとは普通のボランティアでは聞けないようなお話しですね。

「まだ行方不明で見つからないけれども、葬儀を挙げたほうがいいのか」とか、「位牌(いはい)が流されてしまって、何とか見つけ出したけど、傷が付いていて、それを新しく変えたほうがいいのか、今のままでいいのか」とか、僕たちに聞かれても絶対答えられないような悩みを皆さんすごく持たれていました。そういうのをお坊さんは、ある一定の考えからお話ししてくださるということで、住民さんからすごく人気がありました。


これはお数珠です。数珠をプレゼントというか、お渡しして、祈りを込めてくださっているところです。僕自身、別に信心深いとかそういうのは一切ないのですが、やっぱりお坊さんの力というのはすごいと、このとき改めて感じました。これは今でも定期的に続いていて、いまの僕はあまりかかわっていないのですが、お坊さんはまだまだ頑張っていらっしゃいます。

手芸、カラオケといろいろな手段で集まる場をつくりました

手芸会

手芸会です。仮設のお母さん方はすごく手作業が好きなんです。しゃべりながら手を動かすのが大好きで。右側の写真は布で作ったチューリップです。左の写真は確かフクロウ人形とかを作っているところです。写真を見ていただいて分かると思いますが、みんな先生のほうを集中して見ています。熱気がすごいというか、もう本気なのです。

手芸会を定期的にやることで、楽しみにもなりますし、同じ趣味の人同士、気が合う人同士で仲良くなるきっかけにもなります。このイベント中だけでなく、終わったあとも「チューリップを覚えたから孫に作ってプレゼントするんだ」とか、「今日来られなかった友達に作り方を教えてあげるんだ」とか、そういう話しも続いていたみたいで、広がりがあるイベントだったかなと思っています。

次はカラオケ貸し出しです。カラオケの機械を団体で年間リースして、住民さんにお貸ししていました。これは僕たちがカラオケのイベントとかをやるのではなく、完全に貸すだけ、そして使い方は自由、というふうにやっていました。結構おっちゃんたちがいるのが分かると思います。

男性はイベントとかをやっていても全然出てこないのですが、これは多分お酒とかを飲んでいると思うのですが、演歌とかお酒を混ぜると男性の参加率がものすごく上がります。これも半数ぐらいは男性です。普通だと、先ほどのお坊さんのお茶会とかだと、100人来て90人ぐらいは女性なのですが、こういうのだとかなり参加してくださるというのがありました。

これは、けんかしているわけではないのですが、団地の中で飲み会をしましょうというのがあって、おっちゃんが酔っ払ってすごくテンションが上がっているところです。みんなで楽しく歌っていて、そういうことがきっかけになっています。カラオケというのが、おじいちゃん、おばあちゃんといった、高齢の方にはすごくいいツールなのかなと思います。

やっさん

東日本大震災の仮設住宅支援、復興起業家育成に関わってきました。大学では、震災復興を考える講座やワークショップを実施しています。ここでは、復興ボランティア学講座の記録をまてめて、公開しています。

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やっさん

東日本大震災の仮設住宅支援や復興起業家育成に10年間携わってきました。現在は震災復興に関する講座やワークショップを実施しています。ここでは、復興ボランティア学講座の記録をまとめて公開しています。

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