10.復興ボランティアの心構え(2013年 石巻ふるさと復興協議会)

石巻ふるさと復興協議会

「石巻ふるさ2013年6月4日 石巻ふるさと復興協議会 西本健太朗Part10

震災後、関西から石巻へ来て、仮設住宅の支援活動をしていた西本さん。被災者に寄り添って、2年間の活動をしてきた経験から、ボランティアの心構えについて話しています。復興の主体は住民さんであって、ボランティアは主体ではありません。だからこそボランティアは常に意識して、考えながら活動する必要があるのです。

「やってあげる」なんて気持ちを持ってはいけません

学生のみなさんへ

活動についてはだいたい以上です。最後に学生の皆さんに、「復興ボランティア学」を受けて、何かやってみたいと思っている方へ、僕が2011年3月から活動をずっと続けてきた経験から、お伝えできることは何かなと考えてみました。

まず1点目。僕の中ですごく大事にしていることですが、「やってあげる」に×で、「させていただく」に○と書いています。支援とか、「助けてやっている」みたいな意識を、持たないように気をつけていただきたいと思います。結局、すごくみんな困って、助けがくればありがたいのと思っています。けれども、あなたがどうしてもやらなければいけないとか、あなたがやってくれないと困るとか、そういうことではありません。

ボランティアって「有志」といいますが、やりたいからやっている。そういう活動が好きだからとか、そういうのを自分がやりたくてやっているというのが大前提です。なので、「やってあげる」ではなくて、自分がそういう支援のお手伝いをさせていただく。自分がやりたくて、ありがたくも「支援をさせてください」という気持ちを受け入れていただいているという意識を、僕は強く持っています。もし活動するときがあれば思い出してください。

自分が「やりたいと」感じる活動に参加しましょう

2点目ですが、やりたいとか、やってみたいとか、好きとか、面白そうとか、楽しいとか、感じることをやっていていただきたいと思います。義務感とか、やらなければいけないとかでやるのも大事なのですが、疲れて続かなくなると思います。

いろいろな団体さんが、頑張っていらっしゃるんですけど、団体の中でも矛盾とか活動の悩みとかあって、そういう壁にぶち当たったときに活動を続けられるのは、自分がやりたいと思っているから、しんどいけどやるんです。あとは、「やってあげている」とか「誰かに言われて仕方なくやっている」とかだったら、何か嫌なことがあったらすぐにやめたくなります。部活でもバイトでも、何でも一緒だと思います。もしやるのであれば、そう感じてやってください。

何かをするには責任感を持って取り組みましょう

3点目。当然何かやるということは責任が伴ってきます。そんな難しいことではなくて、約束したら守るとか、そういうことです。例えば、「6月15日にこういうイベントがあるので来てください」「じゃあ、行けそうなので行きます」と言って、当日行かないとか。一個人として、普通に守るべきところ、という感じでしょうか。

別に復興支援とか関係なく、自分が何か発言したり、「やります」と言った以上、直前で止めてもいいですけれど、結局信頼を失うのは自分ですし、評価が下がるのも自分のです。責任が伴うというのがあります。

あとは大事なのは、例えばある団体さんの活動に参加することなったときに、団体の名前を背負って活動します。自分でやりたいことだったら、勝手にやればいいのですが、団体の名前を背負うということは、自分が何か失礼な態度を取ったときは、団体に対して文句が行くとか、団体の評価が下がってしまうのです。

結局、迷惑も掛けてしまいます。自分の評価だけ下がればいいのではなくて、団体自身の活動が、例えば、ある団地でトラブルを起こしてしまったり住民さんに暴言を吐いてしまったら、その団体はその団地へ行けなくなります。そういうことを考えると、ある程度のことは常識をわきまえてやることです。

自分ができることの限界を知って、全力でやり遂げましょう

最後です。「できないことを知ること」と書きました。ちょっと分かりづらいかもしれないですけど。本当にいろいろやっていて、力不足しか感じません。自分にできることは、めちゃめちゃ少ないです。自分が何か一日活動したから復興につながるというのは、あり得ないのです。2年間やっていても、何か残せたかなと思うと、全然思わないというか、「まだまだ」とかそういうことしか感じないです。

もし何かトライされた方は「すごく難しい」とか、「自分だけでは何もできない」と思うかもしれません。だからこそ、自分にできることは全力でやるというか、できることだけは本当に全うというか、最初から最後までやり切ろうとか、そういうふうに考えていただければと思います。続けるうちに、数字とか見た目には見えづらい復興だと思うのですが、少しずつ見えてくるものもあるのではないかと、そういうことを考えながらやっています。

やっさん

東日本大震災の仮設住宅支援、復興起業家育成に関わってきました。大学では、震災復興を考える講座やワークショップを実施しています。ここでは、復興ボランティア学講座の記録をまてめて、公開しています。

関連記事

団体別インデックス

コメント

この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA


最近の記事

  1. 12.東北で手仕事のタネを育てたい

  2. 11.笑顔の最大化がゴールです

  3. 10.OCICAが切り開いた外の世界

  4. 9.売るためにはデザインが鍵だった

  5. 8.鹿のツノでものづくりをしよう

やっさん

東日本大震災の仮設住宅支援や復興起業家育成に10年間携わってきました。現在は震災復興に関する講座やワークショップを実施しています。ここでは、復興ボランティア学講座の記録をまとめて公開しています。

TOP
CLOSE
Translate »