9.コミュニティ形成の起点になったカーシェアリング(2013年日本カーシェアリング協会)

日本カーシェアリング協会

東日本大震災によって多くの住民が車を失った石巻で、カーシェアリング活動を始めた吉澤さん。2カ月以上かけて行政との折衝を終えて、本格的にカーシェアリングの展開を始めます。やがて、カーシェアリングをしている人たちを起点にして、仮設住宅のコミュニティが形成されていきました。

2013年7月30日 日本カーシェアリング協会 吉澤武彦Part9

本格運行がはじまった

7月24日から最初のテスト始めて約2カ月以上かかり、県警、宮城運輸支局、行政、利用者の全てからOKをいただきました。ガリバーさんから提供いただいた車を先ほどの仮設万石浦団地で最初の1台目の車として登録しました。

それからどんどん車を提供していっていたんですけども、すぐに車の提供がおっつかない状況になっていったんです。そしたら1月にガリバーさんから追加で25台提供いただいたんです。最初に5台提供いただいていたので、最終的に合計30台提供していただきました。

もうこれくらいの時期には、僕らは月10台くらいのペースで、車を届けていました。スタッフと2人で、これをやっていたんです。大変でした。でも、石巻にやってくるたくさんのボランティアの方とか、遠隔で協力してくださる方とか、いろんな力添えの下でなんとか乗り切ってそれをやっていきました。

カーシェアリングからコミュニティが生まれた

最初に、カーシェアリングからコミュニティが生まれた、って話がありましたけれども、さっきの万石浦の仮設では、カーシェアリングをやっている人たちが中心となって、いろんな活動をやっていったんです。ゴミ拾いをやったりとか、お茶会をやったりとか、そうした活動からコミュニティが広がっていって、自治会が生まれたりとかしたんです。

そういう仮設が、何箇所かあるんです。移動支援という部分と、コミュニティ形成という部分を市から評価いただき、あと必要性を理解していただきまして、「カーシェアリング・コミュニティ・サポートセンター」っていう、市の機関を設立していただきました。これは日本で、初めてのことやと思います。自治体の運営するカーシェアリングの機関ができたというのは。それの運営受託を僕らはやり始めました。

カーシェアリングの利用者の人に、スタッフになってもらって、今度は広める側になってもらいました。委託料をいただきましたので、それを石巻に還元しようと思いまして、スタッフを雇いました。

人柄が良い「ひな形」をつくる

僕はいろんな人と関わりながらやっていて、人を雇う時もそうなんですけれども、一緒に何かをする人を選ぶ時、僕が大切にしていることはもう、一点だけなんです。「人柄」。能力とかいろいろあると思うんですけれども、やっぱり人間として一番大きいのは、そこやとやっぱり僕は思うんです。

自分についても、やっぱりそこを注意しながらやっていっているんです。人柄が良かったら、協力してもらえる人も現れるし、どんなことでも乗り越えられるというか、良い風が吹いてくるんです。その良い人柄の中にこそ、良いひな型ができると、僕は思っているんです。そう感じているんです。

だからいろんな人に協力をお願いしたりとか、抜擢しながらやっていくんですけれども、僕はその何ができるかっていうよりも、その人柄を見ていって、そのあと、その人は何ができるかっていうのを、探していって、役割をつくっていく、そういうふうなスタイルでやっています。

さあ、そのスタッフになった利用者の人たちが、どんどん展開していってくださいました。少し前から石巻以外の地域からも問い合わせがきていたんです。僕には、そこまでの余裕はなかったので、対応してなかったんです。けれども、「ぜひその他の地域でも、困っている人がいらっしゃったら、何とかしてあげたい」って、スタッフが言ったんです。それで、いろんなところを走り周っていただきました。女川とか東松島。あと、気仙沼とか一関にも展開していきました。

やっさん

東日本大震災の仮設住宅支援、復興起業家育成に関わってきました。大学では、震災復興を考える講座やワークショップを実施しています。ここでは、復興ボランティア学講座の記録をまてめて、公開しています。

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やっさん

東日本大震災の仮設住宅支援や復興起業家育成に10年間携わってきました。現在は震災復興に関する講座やワークショップを実施しています。ここでは、復興ボランティア学講座の記録をまとめて公開しています。

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