東日本大震災によって多くの住民が車を失った石巻で、カーシェアリング活動を始めた吉澤さん。大阪での車集めは、ぽつぽつと成果がでてきました。次は手に入れた車の受け入れ先を探すことが課題です、そこで、石巻の仮設住宅を回って、一緒にカーシェアをやってくれる住民さんと出会います。小さな出会いから被災地のカーシェアが実現しました。
もくじ
2013年7月30日 日本カーシェアリング協会 吉澤武彦Part7
できることから始めれば誰かが助けてくれる
車集めをやっていく中で、その当時、僕が事務所として机借りていたところの隣の隣の席に、70ちょいくらいのおじいさんが座ってはったんやけど、その人がすごく経済界にコネクションがありました。その僕の動きを見て、「ちょっとじゃあ、どこどこの常務を紹介してあげるわ」とか、「どこどこの社長を紹介してあげるわ」、とかって、なんか次々に、「ええっ?」 とか思いながら、「いいんですか?」とかいいながら、紹介を受けてプレゼンしにいったんです。
そしたら、いきなり社長とかに会えますので、それで話をしたら「それならちょっと、営業車を軽に変えようと思ってたけど、それを下取りに出しても大した金額にならへんから、もうそれ、君にあげるから持っていけ」って、なんか一台くれたんです。言ってみるもんです。そういう感じで、車をゲットしていきました。
だいぶ苦労しましたけど。電車に乗って、なんか駐車場に車いっぱい止まっていたら、その次の駅で降りて、引き返して、そこの駐車場に車止まっている会社のところに行って、「車がたくさんあるのを見かけたんですけど」、とか言いながら、そんなのをやっていきました。あほみたいな話ですけども、できることからやっていくというのは、僕はやっぱりそういうことかなと思って、そういうのをやっていきました。
一緒にやってくれる住民さんを探しに
さあ、車はゲットできましたので、その提供先を探していきました。6月、石巻に、もっかい入りました。とりあえず仮設住宅ができはじめた頃だったので、仮設を周っていきましたとりあえず、表に出ているおばあちゃんとかと話しかけたりとか、コンコンってドアをノックして、「すみませーん」とか言いながら訪ねていったり。
なんかうまい方法ないかなと思ってたら、携帯電話かなんかのアンケート調査をやっている人が、粗品を持って訪問したらみんながアンケート答えているのを見て、「ああ、これはいいな」と思って真似しました。早速アンケートをつくって、ボランティアベースに支援物資で届いていた手ぬぐいを発見して、それをいくつかいただいて、仮設住宅で車に関するアンケート調査を粗品を配ってやっていったんです。
この時僕は、アンケートの中身にはまったく関心がありませんでした。僕がやっていたのは、「出会う」ということです。一人でもいいので、一緒にやろうっていう人を仮設で探したいと思ったんです。それを、アンケートを口実に、会話をやっていったんです。
そしたら、万石浦の仮設で、「ああ、この人いいな」っていう人が現れたんです。その人は、実は車を持ってたんです。でもそこは真剣にお願いしました。「みなさんのために、この取り組みの真ん中に立ってください。そしたら、いろんな助かる人が現れてくると思うんです」って。それで「わかりました、引き受けましょう」ってなりました。
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