東日本大震災によって多くの住民が車を失った石巻で、カーシェアリングを展開している吉澤さん。次の展開として、電気自動車の利用実験を始めました。カーシェアに使うだけでなく、災害時の非常用電源として使う予定です。今後は電気自動車の普及のネックとなる、インフラの整備や技術者の育成を図り、被災地から電気自動車の文化づくりを夢見ています。
もくじ
2013年7月30日 日本カーシェアリング協会 吉澤武彦Part12
電気自動車のカーシェアリング試験を始めます
ここからちょっと、先のことです。これからの展開についてです。電気自動車のカーシェアリングが、来月の8日から始まります。三菱自動車さんから、i-MiEVっていう、軽のかわいい電気自動車を、無償貸与いただくことになりました。電気自動車でのカーシェアリングが始まります。仮設住宅の、あの丸をつけているところが電気自動車の充電する設備なんです。それの工事ももう終わっています。仮設住宅で電気自動車のカーシェアリングが始まります。
僕らは復興住宅で、どういうふうなカーシェアリングの展開ができるのかっていうのに、照準を合わせています。言い換えると、仮設でカーシェアリングをやっている今はまだ本番に入っていないんです。練習みたいなものなんです。復興住宅では、電気自動車でカーシェアリングがやれたらいいなと思っています。それのお試しを、仮設でまずやってみます。それでうまくいったら、そこから今度、復興住宅でできるような展開を目指していきます。
電気自動車を活用した防災にも取り組みます
あと、電気自動車は、電源になるんです。今回震災で、電気がなくて苦労をされた方は、ほんとにたくさんいらっしゃるんですけれども、電気自動車から電源をとれば、最低限のほんとに必要な電気を取れるんです。ですので、防災計画っていうのも変わってくるんです。例えばこの車を持っている自治会で、停電の時、電気自動車から電気を取り出した時、まず何に使おうかとか、そういうのを考え始めたりするんです。
電気自動車は6台で始めますが、それが10台とか15台とかなっていったら、市の防災計画の中に入っていきます。なんかあった時に、その10台の電気自動車が、一気にここに集まって、電気を確保しようとか、「行政との防災協定」というような展開も生まれてくるんです。
あと、この車は自治会が運営していきます。自治会が1台の車を運営するっていうのは、今まであまりなかったと思うんです。でもこれを今回、仮設で挑戦していきます。うまくいけば、自治会で市民によるカーシェアリングができる可能性が広がっていきます。
電気自動車の充電は、いま集会所から電気を引いているんですけれども、これをなんとか全部自然エネルギーで賄おうと、まずは一箇所でデモを行おうとメーカーと話をしている最中です。最終的に全ての災害公営住宅が、自然エネルギーで充電しながらカーシェアリングをやる。そういうところを目指して、歩み始めています。
電気自動車の普及に役立ちたい
業界の販売台数等では電気自動車は今なかなか苦戦しているようです。その最大のネックは、インフラの整備です。でも、たくさんの電気自動車が目立ちながら石巻を走り回っていたら、急速充電器も整備しないといけないなっていうのを、大型スーパーであったりとか、道の駅であったりとか、市役所であったりとか、考え始めると思うんです
ユーザーとしての提案を行ったりしながらインフラ整備を推し進める刺激を与えていきたいと思っているんです。
あとは、この大学にも山本先生のもとで、車の整備を学んでいる学生がいらっしゃいますが、石巻市内には整備士の方もたくさんいらっしゃいます。そこで、電気自動車に関する技術を身につけたり、構造を学ぶための素材として、私達の電気自動車がお役に立つことができればなと思っています。
電気自動車に関する文化レベルが高まり、電気自動車を持っている人が、一回は石巻に行きたくなるような町、そういうふうな新しい町づくりの扉が、この6台の電気自動車のカーシェアリングから開いていくんです。そういう鍵となるような取り組みを目指していきたいと思っているんです。三菱自動車さん、ありがとうございます。
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